現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)着床前後の胚培養:交配後3.5日目(E3.5)に胚盤胞期胚を回収して、着床後E5.5-6.0日目胚までの養法を確立する。胚を立体的に発生させるため、三次元培養ゲルを用いた。また、培養ゲルを子宮内部の構造に似せるため、幅100-150umの窪みを作製して、胚をその中で培養させる方法を構築した。この方法により、10%未満の胚が着床後の円筒状に発生することが確認できた。円筒状に発生した培養胚を分化マーカー遺伝子(epiblast, Oct3/4;trophoectderm, Cdx2; primitive endoderm, Gata4)の抗体染色で解析したところE5.5-6.0日目胚と同様の発現パターンであることが確認できた。一方、培養条件の評価を効率的に生きたまま行えるように分化マーカー遺伝子のレポーターマウスの作製を進めてきた。まず、Oct4遺伝子座に蛍光タンパク質遺伝子を挿入してレポーターマウスを樹立した。2)擬似子宮組織の三次元培養:マウスの子宮組織より、子宮上皮細胞と間質細胞をそれぞれ単離して培養する方法を確立した。さらに、培養ゲルを用いてゲル上に上皮細胞、ゲル内に間質細胞をそれぞれ層状に培養する方法を確立した。in vivoでは着床後に間質細胞の脱落膜化が起きる。この現象を可視化するため、初期の脱落膜化領域(PDZ: Primary Decidual Zone)で発現することが知られているHb-egf、Cox2、BMP2、Wnt4に蛍光タンパク質遺伝子を挿入してレポーターマウスの作製を進めてきた。これらのレポーターマウスを使うことで、脱落膜化の指標とすることができる。
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