研究実績の概要 |
子宮筋腫は多くの女性が罹患する良性腫瘍であり, 痛みや出血, 不妊症状により女性の労働生産性や日常生活の活動に大きな影響を及ぼしている. 子宮筋腫はMED12野生型(以下MED12WT)とMED12変異型(以下, MED12MUT)に大きく分類することができ, 従来これらは病理学的・臨床的において同一の疾患と判断されてきた. しかし, 発生原因が異なるため増大機序に差があると考えられ, MED12WTの方が巨大化しやすい. 我々はMED12WTの子宮筋腫をターゲットにした子宮筋腫増大機構の解明および治療法の確立を目的にしている. R4年度は子宮筋腫の凍結組織検体を用いて共免疫沈降を行い,RNAポリメラーゼⅡC末端ドメイン(CTD)を基質として、抗MED12抗体で共沈してきたCDK8のセリン・スレオニンリン酸化酵素活性を,リン酸化CTDを特異的に認識する抗体で直接観察した.MED12MUTではCDK8活性は低下しており, MED12WTでは保たれていた.また, 偽閉経療法を施行したMED12WT子宮筋腫においてはCDK8活性が低下しており, 偽閉経療法の効果発現機序ともCDK8活性が関連していることが示唆された. 続いて, MED12WTの子宮筋腫を初代培養し, CDK8阻害薬の細胞増殖抑制効果, アポトーシス誘導効果を確認した. このことにより, CDK8阻害薬が子宮筋腫増大を抑制する可能性が考えられた.
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