研究実績の概要 |
eEF1A2を高発現する卵巣明細胞癌細胞株に対して、新規抗悪性腫瘍薬であるPlitidepsinの腫瘍増殖抑制効果やApoptosis誘導をin vitro実験系で確認している。卵巣明細胞癌の細胞株であるKOC-7C, RMG-1, TOV-21Gという3つの細胞株を用い、Plitidepsinを0nM, 0.5nM, 1nM, 5nM, 10nM, 50nM, 100nMと濃度勾配をつけて培養液に混合し、48時間培養後にMTSを加えて吸光度測定を行った。すると、Plitidepsinの濃度依存性にそれぞれの卵巣明細胞癌細胞株の増殖抑制効果がMTS assayで確認された。 それらの細胞株において、eEF1a2発現ベクターを用いてeEF1a2を過剰発現した株、そしてsi RNAによりノックダウンした株に対して、Plitidepsinを投与した。上記の方法と同様に、48時間培養後にMTS assayで増殖抑制効果を評価すると、eEF1A2の過剰発現株においてPlitidepsinの効果は強く、ノックダウン株に対して弱くなった。そのため、依然詳細な機序は明らかになっていないが、PlitidepsinはeEF1A2をターゲットとして抗悪性腫瘍効果を持つことが示唆される。 また、新たに増殖を抑制する効果のある薬剤の検索として、Lactoferrinの投与について検討した。Lactoferrinは癌細胞の浸潤能や移動能を抑制することが報告されているが、卵巣明細胞癌に対する効果について、既報は乏しい。Lactoferrinを細胞株を培養する培地に加えると、濃度依存性に細胞死を誘導する可能性について示唆された。
|