研究課題/領域番号 |
22K09610
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 隆介 京都大学, 医学研究科, 助教 (40782363)
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研究分担者 |
谷垣 健二 滋賀県立総合病院(研究所), 神経病態研究部門, 専門研究員 (70362473)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | B7H3 / 腫瘍微小環境 / VEGFA抗体 |
研究実績の概要 |
卵巣癌の予後不良である高異型度漿液性癌(HGSC)の腫瘍微小環境における、B7H3高発現細胞分画をフローサイトメトリーにより同定していた。今年度はsingle cell RNA sequencingのデータで検証したところ、卵巣癌HGSCにおけるB7H3高発現細胞は癌関連線維芽細胞の中でも、筋原性線維芽細胞や、抑制系であるM2マクロファージであることを確認した。免疫化学組織染色でEpithelial mesenchymal transition (EMT)が亢進している卵巣癌HGSCのmesenchymalタイプの腫瘍の間質細胞で高発現しているという局在も確認した。またB7H3が間質で高発現している領域よりも、間質で低発現している領域にはリンパ球浸潤も多く、免疫抑制に寄与していることが示唆された。現在、抗B7H3抗体治療と抗VEGF抗体治療の単剤および併用治療による、自然免疫マウスモデルHM1細胞株の皮内モデル、腹膜播種モデルで治療実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた計画は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
抗B7H3抗体治療と抗VEGFA抗体治療の単剤および併用治療による、自然免疫マウスモデルHM1細胞株の皮内モデル、腹膜播種モデルでその治療効果、腫瘍内浸潤CD8Tリンパ球の定量を行う。コントロールに比べて、抗B7H3抗体および抗VEGFA抗体の単剤投与は腫瘍内浸潤CD8の量を増加させ、さらに併用療法による相乗効果が認められるかを検証する。また抗B7H3抗体の治療抗体を開発するため、今後エピトープマッピングを用いて、配列を確認することを予定している。 HGSCのmesenchymalタイプの主経路であるTGFB1とTGFB3のknock outしたHM1細胞株を用いて、腫瘍抑制効果と、腫瘍免疫に関連する細胞分画への影響を調べる。 さらに抗B7H3抗体、抗VEGFA抗体の単剤治療・併用治療の治療効果を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
single cell RNA sequencingの公開データが得られたため、予算を次年度に繰り越すことができた。次年度は治療抗体や、試薬、マウスの購入を計画している。
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