研究課題/領域番号 |
22K09612
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
白澤 弘光 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (60598019)
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研究分担者 |
熊澤 由紀代 秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (70400504)
高橋 和政 秋田大学, 医学部附属病院, 技術系スタッフ (60791910)
佐藤 亘 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10726441) [辞退]
岩澤 卓也 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (10770464)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 体外成熟培養 / タイムラプスモニタリング / 第1極体 / 卵子凍結 / ライブセルイメージング |
研究実績の概要 |
妊孕性温存時に体外成熟培養(in vitro maturaion, IVM)過程においては、実験室(laboratory)における胚培養士などの人員配置およびタイムラプス観察などのadd-onsが卵子凍結・融解後の成績に関与し得る。しかし、その細胞生物学的背景を踏まえた検討は現在まで限られていた。 今回の我々の検討では、妊孕性温存時の卵子凍結、卵巣組織凍結に併用した体外卵子回収および体外成熟培養過程などの臨床データを踏まえて、マウス胚・ヒト廃棄胚を中心にタイムラプスモニタリング、ライブセルイメージングを用いた動的挙動解析を行った。 A)体外成熟培養過程においては第1極体放出まで、B)第1極体放出から卵子凍結-融解、受精(授精)過程のプロセスもしくは、パートナーがいる場合には第1極体放出から凍結-融解を経由しない受精(授精)プロセス、そしてC)着床前胚発育と3つの過程に大別される。 A)のプロセスにおいては37個の未成熟卵子に対するIVMにおいて、成熟率59.5%、第1極体放出までの平均時間25.0時間(95%信頼区間(CI) 20.2-29.9時間)であり、labroratoryの人員体制により異なるが過程Aから過程Bに至るタイムラグが平均13.6時間[95%CI 10.6-16.5時間)となることを見出した。妊孕性温存におけるタイムラプスモニタリングの使用については報告が少なく、今後タイムラグを考慮した良好胚選別のためのプロトコル作成に有益なデータとなる。 またSiR-700、SPY-555、NucleoSeeingを用いて、tubulin、microfilament、chromatinをmRNA・DNAのmicro injectionを要さず、ライブセルイメージングを実施し、第1体細胞分裂過程に着目した染色体分配プロセスの観察・検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト配偶子、ヒト胚という貴重な検体を得るマテリアル確保過程にハードルがある。これまで開腹手術を主とした、子宮体がん手術症例における非刺激下摘出卵巣由来の未成熟卵子をマテリアルとしていたが、腹腔鏡手術・ロボット支援下手術の拡がりにより同様の症例数が減少している。 腹腔鏡手術・ロボット支援下手術症例においては、血管処理後に卵巣を体外に回収するまでのタイムラグが生じるが、今後は同過程による影響を踏まえた体外成熟培養過程の検討を行い、マテリアル確保に努める。 またタイムラプスモニタリング、ライブセルイメージングにおいて解析においてartificial intelligence (AI)を用いた効率的な解析を試みているが、上述のマテリアル確保のハードルのほか、大量の画像データ・パラメータに対するアノテーションが必要であり、今年度構築したライブセルイメージングによる3次元解析で従来により大量に取得された画像処理の過程構築に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
Chemical probreを用いたライブセルイメージングを用いた3次元的なヒト染色体分離過程、核成熟過程の解析により、体外成熟培養、着床前胚発育および単為発生刺激(parthenogenetic activation)による胚発育モデルなどのさらなる解析が可能となった。 妊孕性温存においては各過程の最適化が必要でありライブセルイメージングデータと、明視野におけるタイムラプスモニタリング画像のdeep learning, AIを用いたマッチング、解析が今後重要になると考えられる。 卵子凍結前後の動的挙動解析と、その後の胚発育過程および最終的な異数性発生機序解析について、preimplantation genetic testing for aneuploidy (PGT-A)などを用いて連続的に評価を継続していく。 マテリアル確保については適応疾患は同一とするも適応手術の拡大を考慮し、症例数確保に努める
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での発表を2023年から2024年に変更しており、渡航費用に差額が生じた。また学術成果の論文掲載が遅れており、オープンアクセスにかかる使用見込みが翌年度に変更された。 最終年度はAI, Deep learningにかかるハード、ソフトの両ウェアへの使用を予定している
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