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2022 年度 実施状況報告書

妊娠初期の血中microRNAを用いた癒着胎盤における新規診断法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K09624
研究機関自治医科大学

研究代表者

高橋 宏典  自治医科大学, 医学部, 教授 (80544303)

研究分担者 白砂 孔明  東京農業大学, 農学部, 教授 (20552780)
小古山 学  自治医科大学, 医学部, 助教 (60741692)
瀧澤 俊広  日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (90271220)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード絨毛外栄養膜 / 癒着胎盤 / 妊娠高血圧腎症 / バイオマーカー
研究実績の概要

1. 妊娠高血圧症候群の主因であり、癒着胎盤とも関連が示唆されている抗血管新生因子sFlt-1や胎盤増殖因子PlGFの分泌機構を検討した。ヒト臍帯静脈内皮細胞にホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)を添加するとsFlt-1分泌量とNLRP3 mRNA発現が増加し、PlGF分泌が減少した。NLRP3関連阻害剤を添加によりPMA誘導性sFlt-1分泌量が抑制された。NLRP3インフラマソーム活性要因のカテプシンBの阻害剤を添加するとPMA誘導性sFlt-1分泌量が抑制された。
2. 妊娠高血圧症候群の研究として、ギニンメチルエステル(L-NAME)を用いてこの疾患のモデルマウスを作製した。野生型およびNLRP3欠損マウスを交配し、妊娠1~17日目までには水(コントロール)またはL-NAMEを飲水させた。コントロールの母体の収縮期血圧が最大105mmHgだったのに対し、L-NAME群では最大123mmHgまで上昇した。対照区と比べ、母体血漿中のsFlt-1/PlGF比がL-NAME群で上昇した。NLRP3欠損妊娠マウスではL-NAME飲水による母体血圧の上昇が抑制され、血漿中sFlt-1/PlGF比も減少した。
3. 妊娠初期妊婦の血液回収を行い、計1200例集積できた。
4. 妊娠血漿および尿から超遠心法を用いてエクソソームを回収できた。また妊娠高血圧症候群を発症した妊婦のエクソソームは同症候群を発症していない妊婦よりもエクソソームは有意に増加した。さらに、正常妊娠経過の妊婦のエクソソーム分泌量も妊娠初期、妊娠中期、妊娠末期と妊娠経過が進むにつれ、これが増加することを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

他、研究にエフォートをとられて、当該研究にエフォートを投入できなかったことが一番の原因である。癒着胎盤の中でも詳細は多岐にわたり、明瞭な結果を出すためにも、癒着の度合や胎盤位置が同一の症例をまだ集積する必要があり、集積の方に時間を消費した。癒着胎盤は妊娠高血圧症候群に比し、症例が少ないため、妊娠高血圧症候群の研究は進められた。

今後の研究の推進方策

1.妊婦血漿を用いて、digital PCRを行う。ターゲットとするmiRNAは既報告で有用と報告されているものを用いる。
2.本来は注目していなかったが、エクソソーム量が様々な疾患で異なることがわかったので、妊娠中におけるエクソソーム量の解析および疾患(妊娠高血圧腎症、早産、癒着胎盤)におけるエクソソーム量を計測する。
3.どのような酵素や細胞小器官が関与することで、細胞内でsFlt-1合成・分泌・切断が起きるのかをin vitroで検証する。血管内皮細胞以外の細胞におけるsFlt-1分泌機構を検証する。
4.常位付着の癒着胎盤症例、前置胎盤の癒着胎盤症例、超早産症例が不足しているため、検体集積を継続する。
5.癒着胎盤での結果が思わしくないときは妊娠高血圧症候群と早産の研究を推進し、新知見を見いだし、論文化までごぎつける。

次年度使用額が生じた理由

予定した実験が進められなかったので、その費用が次年度以降に繰越しさせていただく。また、参加予定だった学会への出席を取りやめたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] The regulatory mechanism of extravillous trophoblast invasion through microRNAs2023

    • 著者名/発表者名
      Hironori Takahashi
    • 学会等名
      1st Asian Congress for Reprodutive Immunology
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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