研究課題
(1)高異型度漿液性癌(HGSOC)のバーチャルスライドを用いて、4つの組織サブタイプに分類するアルゴリズムを作成した。また4つの組織サブタイプ分類とgene ontology 解析、パスウェイ解析の検証のため免疫組織染色を行った。4つの組織サブタイプのうちMTで血管新生や免疫反応に関する発現が亢進していることを明らかにし、論文報告した。また国内の多施設共同研究の付随研究として、4つの組織サブタイプ分類を用いて血管新生阻害薬であるベバシズマブの感受性予測が可能であったことを論文投稿中である。さらに機械学習を用いてバーチャルスライドを4サブタイプに分類するアルゴリズムを作成し、トレーニングされた検者間一致率と同等の再現性が得られたことを論文投稿中である。(2) PARP阻害薬の長期奏効例のバイオマーカーを解析するため、再発卵巣癌で PARP阻害薬を投与された症例のうち2年以上の長期奏効例と2年未満の奏功不良例の遺伝子発現について、症例集積を終えBRCA1、SLFN11やRAD51、遺伝子パネル検査を解析をおこなった。現在データ解析中であり、学会発表している。(3) 卵巣癌の免疫療法のバイオマーカー解析のためにCRE/ loxPシステムによりPik3ca/Arid1a共変異を生じさせるCRE誘導性のマウス卵巣癌モデルを作成した。このマウスモデルは、今後、卵巣癌の腫瘍免疫の研究に必須となる。
2: おおむね順調に進展している
(1)HGSOCのバーチャルスライドを用いた診断のアルゴリズムと血管新生阻害薬の奏功規定因子となりうる可能性について順調に論文報告した。またHGSOCのバーチャルスライドを用いた診断のアルゴリズムの標準化と臨床普及を目的に、機械学習を用いてバーチャルスライドをAIで4サブタイプ分類するための診断アルゴリズムも作成し、ベバシズマブの感受性予測因子となることを検討した。これらの成果は現在論文投稿中であり、進捗は順調である。(2)PARP阻害薬の長期奏功例を明らかにする研究では、免疫組織染色と遺伝子パネル検査についての結果を解析し、学会発表を行っているため進捗は順調である。(3)免疫療法のバイオマーカー解析のためのマウスモデル構築も順当に進展している。
(1)HGSOCのバーチャルスライドを用いた診断のアルゴリズムの標準化と臨床普及を目指すためAIを用いた診断アルゴリズムについて論文報告を完成する。その結果をもとに、海外の第III相臨床試験の付随研究として4サブタイプを用いたベバシズマブの感受性予測についての検証を行う予定である。(2)PARP阻害薬のバイオマーカー探索として、免疫組織染色と遺伝子パネル検査の解析を進めていき、PARP阻害薬の長期奏功例の選別が可能かについて結果を報告する予定である。(3)卵巣癌モデルマウスにおい て、PD-1抗体、IL-6抗体、CTLA-4抗体による免疫療法を行う研究を引き続き進めていく。
今年度は機械学習を用いたアルゴリズム作成と論文投稿に時間を要したため、当初予定していた免疫染色や遺伝子パネル検査を予定して計上していた費用が、次年度使用額として発生した。アルゴリズム作成については論文投稿も終わっており、予定していた研究に専念できるため、次年度に研究を進めていくための予算として必要になる見込みである。
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