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2023 年度 実施状況報告書

1前核受精卵の効率的作製方法の開発と正常性の網羅的調査

研究課題

研究課題/領域番号 22K09637
研究機関山梨大学

研究代表者

長友 啓明  山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (30746813)

研究分担者 中村 勇規  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90580465)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード雄性前核 / 雌性前核 / DNAメチル化 / 核小体
研究実績の概要

哺乳類の初期胚発生において、受精後の1細胞期胚に特徴的に見られる現象として雌雄前核がある。雌雄ゲノムは別々に雌性前核、雄性前核として1つの細胞の中に別個に存在し、2細胞に卵割する直前に融合し、M期へと移行する。受精の判定方法として、第二極体の放出と雌雄それぞれの前核を顕微鏡下で確認することで受精卵、未受精卵、単為発生が判定可能である。近年、単為発生と判定される1前核胚においても受精卵が含まれることが報告されている。したがって1前核受精卵を有効利用することが可能であれば不妊治療のみならず貴重な遺伝資源の活用という観点で非常に有益である。しかしながら、1前核受精卵に関するこれまでの知見はコホート研究以外では、基礎的な研究はほとんど報告されていない。その理由として1前核受精卵を人為的に作出する方法が確立されていないことが考えられる。そこで、本研究では実験動物マウスを用いて、①1前核受精卵の効率的な作製方法の開発、②1前核受精卵由来胚および産仔の正常性に関する網羅的な調査をおこなった。
当該年度は昨年度開発した効率的な1前核受精卵の作製手法を用いて、1細胞期の通常胚および単為発生胚との比較解析を重点的に行った。1前核受精卵では核内に存在する核小体の数が有意に変化することが明らかとなった。また、5mcと5hmcにより免疫染色することで核小体形成位置に特徴的なパターンが見られた。次に移植すると産子率は正常胚と比較しわずかに低下するものの産子は通常の寿命であり、繁殖能力も確認された。本研究から、1前核胚は有意に核小体の数と位置が変化することがわかり、染色体数と核小体の構造の関係が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的である①1前核受精卵の効率的な作製方法の開発、②1前核受精卵由来胚および産仔の正常性に関する網羅的な調査に関してはほぼ達成できた。
また、単為発生胚と1前核受精卵の構造的な違いについても明らかにすることができ、明視野での目視による判別が可能となったため、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

現在、RNAseqによる網羅的遺伝子発現解析を行っている。通常胚、1前核受精卵、体細胞クローン胚それぞれの2細胞期胚を比較解析することで、遺伝子発現パターンを調査する。ここまでのデータで論文投稿を予定している。

次年度使用額が生じた理由

RNA seq 解析を外注業者に依頼しているが、当該年度までに解析が完了しなかったため、その分の費用を翌年度分として請求した。その他の使途については概ね変更は無く、マウスおよび試薬購入費、論文校閲、投稿費用を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Removal of sperm tail using trypsin and pre-activation of oocyte facilitates intracytoplasmic sperm injection in mice and rats2023

    • 著者名/発表者名
      TORIKAI Kohei、SHIMIZU Kazuma、NAGATOMO Hiroaki、KASAI Mariko、KATO-ITOH Megumi、KAMADA Yuko、SHIBASAKI Ikue、JEON Hyojung、KIKUCHI Riko、WAKAYAMA Sayaka、SUCHY Fabian、NAKAUCHI Hiromitsu、WAKAYAMA Teruhiko、MIZUTANI Eiji
    • 雑誌名

      Journal of Reproduction and Development

      巻: 69 ページ: 48~52

    • DOI

      10.1262/jrd.2022-065

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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