研究課題/領域番号 |
22K09643
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉元 千陽 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00526725)
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研究分担者 |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
今中 聖悟 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20790306)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 |
研究実績の概要 |
鉄濃度だけを正確に測定する磁気共鳴緩和測定系の開発を行うため、MRI装置(Magnetom Verio, Siemens)を診療時間外に利用して以下の基礎実験を行った。アガロースゲル内に50mlシリンジを8本たてて固め、チューブ内に測定物質として濃度の異なる各種カチオン(鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛溶液)およびチョコレート嚢胞液を入れ、化学シフト効果(核磁気共鳴周波数のずれを利用して原子の種類を同定する方法)に基づいてMagnetic resonance spectroscopy, MRS値)を計測しカチオン分子種ごとの特性を調べた。同じ検体を、鉄(波長259.9 nm)、カルシウム(396.8 nm)、マグネシウム(279.6 nm)、銅(324.8 nm)、および亜鉛(213.9 nm)の各波長を用いて原子吸光分析(試料を高温中で原子化して、そこに光を照射し、その吸収スペクトルを測定することで、試料中の元素の定量を行う)によって定量し、MRS値と比較した。その結果、鉄濃度はMRS値と正の相関を示したが、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度はMRI値に反映しなかった。しかし、カルシウムの存在はMRS値を上昇させることが判明した。冷凍庫に保管してある子宮内膜症嚢胞液15例程度を用いて、原子吸光分析とMRS値から嚢胞内カチオンの種類と濃度をMRIを用いてex vivoで計測した。現在、サンプルに含まれる鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度を測定予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冷凍庫に保管してある残り子宮内膜症嚢胞液35例を用いて、原子吸光分析とMRS値から嚢胞内カチオンの種類と濃度をMRIを用いてex vivoで計測しているところである。現在、サンプルに含まれる鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度を測定予定であり、予定通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
MRIを用いてMRSを画像化し、鉄のピークからMRS値をex vivoで算出する(ここで得られた値を「MRS鉄値」と定義する)ため、技術者と連携するためのWeb会議を開催する予定である。その後に、検証実験として、内膜症患者の残余嚢胞液を用いてex vivoで鉄濃度、従来のR2値とMRS鉄値を測定し、それぞれの相関係数を比較する予定である。次に、カチオンの影響を受けない磁気共鳴緩和測定法「MRS鉄値」を用いて、EFIとの相関を調査するため、内膜症術後の患者のデータベースから術後不妊治療(一般不妊治療とART成功・不成例に分ける)の実施例を抽出する。EFI をHistorical score、Surgical scoreの項目別に、MRS鉄値との相関を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残り35検体のサンプルに含まれる鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度を測定予定であり、これに残った費用を当てる。さらに、2編の論文を執筆中であり、これも投稿予定であり、投稿費が必要である。
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