研究課題/領域番号 |
22K09644
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 彰一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30866009)
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研究分担者 |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
三宅 龍太 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20866008) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ARID1A / 合成致死 / CDC6 / MDM2 |
研究実績の概要 |
ARID1A遺伝子変異型卵巣癌に対するCDC6の合成致死作用についてin vivoでの実験で検討したが、傾向としての腫瘍の縮小を認めるのみであった。そこで、CCNE-1、CDC6と同時に推定された他の合成致死遺伝子候補であるMDM2の抗腫瘍効果を検討することとした。 TOV-21G、KOC7c(ARID1A mutation)、RMG-I、ES2(ARID1A wild)においてMDM2干渉を行い、PCR、Western blotにてknock downされていることを確認した上、細胞増殖抑制効果を検証したところ、MDM2干渉はARID1A変異のある細胞に対する増殖抑制効果があることが示唆された。また、MDM2阻害薬であるnutlin-3を用いた細胞増殖実験を行なった所、ARID1A変異のある細胞に増殖抑制効果を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験ではCDC6についてのARID1A変異株に対する抗腫瘍効果は有意には認めなかったが、他の合成致死遺伝子候補であるMDM2について4種の卵巣明細胞癌細胞株を検討を行なったところ、ARID1A変異を有する明細胞癌株において抗腫瘍効果を認めることが示唆された。阻害薬が開発されていないCDC6に比してMDM2は阻害薬としてnutlin-3が開発されているため、動物実験、臨床応用も容易であることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
CDC6は阻害薬がなく、動物実験においても遺伝子干渉を行なうことでしか抗腫瘍効果を検討できず、それも一因として、有意な腫瘍縮小効果が観察できなかった。そのため、合成致死遺伝子候補であるMDM2についてin vitroで抗腫瘍効果を検討したところ、良好な結果であった。今後は臨床応用に向けて、動物実験を行なっていくこととしている。MDM2はnutlin-3という阻害剤が開発されているため、生体への投与が容易であり、in vivo実験においてもin vitro実験と同様な結果が得られることが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進行したため、抗体などを追加で購入する必要がなかった。次年度は動物実験を中心に行なう予定であるため、試薬や生体購入費、また論文投稿費や学会報告などに充填する予定としている。
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