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2022 年度 実施状況報告書

Matricellular蛋白SPARCによる細胞性栄養膜細胞の分化制御

研究課題

研究課題/領域番号 22K09649
研究機関東海大学

研究代表者

三塚 加奈子  東海大学, 医学部, 講師 (00514639)

研究分担者 石本 人士  東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
西島 義博  東海大学, 医学部, 講師 (80453710)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードSPARC / Matricellular蛋白 / 細胞性栄養膜細胞 / 合胞体化
研究実績の概要

胎盤絨毛表面の合胞体栄養膜細胞(STB)の層は母体血液との境界をなし、広い表面積を活用し栄養素や酸素の取り込み、老廃物の排出を行い、hCGやエストロゲン、プロゲステロンなどの主たる産生の場となる。 STBは下層の細胞性栄養膜細胞(CTB)が細胞融合により多核化し分化することにより形成されるが、CTBの一部は絨毛を出て絨毛外栄養膜細胞(EVT)として母体組織の脱落膜に遊走・侵入し、子宮らせん動脈の開口部を拡げ、母体血液の胎盤絨毛間腔への流入を促進する。細胞外マトリックス(ECM) 蛋白のSPARCは、組織のリモデリングや細胞遊走・分化・増殖の制御に関わる分泌型のECM蛋白群である Matricellular蛋白に属し、最近になり妊娠初期胎盤に高発現し、EVTモデル細胞の遊走を促進することが報告された。しかし、SPARCのSTB形成における役割については不明である。今年度、CTBのモデル細胞株であるBeWo細胞を用い、SPARCのsiRNAによる一過性発現抑制が細胞融合(合胞体化)に与える影響について検討した。SPARC蛋白は絨毛ではSTB(>CTB)、血管内皮に局在する。発現量は妊娠初期に多く後期で減少した。SPARC siRNA添加により合胞体化率がcontrol siRNA添加に比べ増加し、この増加はforskolin(20μM, 72hr)添加に匹敵した。SPARC siRNA添加群では、STB形成に関与する因子(DYSF, OVOL1など)やSTB細胞マーカー(CGBなど)のmRNA発現が増加し、培地内のβ-hCG濃度が有意に増加した。以上の結果から、SPARCが、CTBからSTBへの分化・合胞体化をオートクライン、パラクラインに抑制制御していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では作業仮説 「SPARCは、細胞性栄養膜細胞の合胞体栄養膜細胞への分化(細胞融合による合胞体化)を抑制する」を検証することを目的としているが、今年度得られた研究成果はこれを裏付けるものであり、研究の進捗状態は良好である。

今後の研究の推進方策

本研究は概ね順調に進行している。次年度は今年度得られた成果を踏まえ、SPARCのCTBの増殖抑制や生存性制御への関与。STBの機能制御への関与などについて検討する予定である。モデル細胞の取り扱いには習熟しており、また細胞増殖アッセイや細胞生存性に関する細胞生物学的解析は、過去に研究室での実績があるので、これを最大限に活かしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は研究計画が順調に推移し効率的に実験を行うことができたため、支出金額を抑えることができた。しかし次年度は細胞生物学的実験など試薬や器材、実験の補助に関する謝金などに相当の費用を要する見込みであり、実験の補助をおこなってもらう要員の雇用を引き続き行い研究実施体制を維持し、研究を精力的に進めていきたい。繰越金と本年度分の金額の支出については、これまで通り効率的に実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 合胞体栄養膜細胞層の形成制御におけるSPARCの役割2022

    • 著者名/発表者名
      東郷敦子、三塚加奈子、坂本奈緒子、飯田哲士、佐藤健二、石本人士
    • 学会等名
      第46回日本女性栄養・代謝学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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