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2022 年度 実施状況報告書

T 細胞疲弊を標的としたアレルギー性鼻炎の新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 22K09670
研究機関札幌医科大学

研究代表者

山本 圭佑  札幌医科大学, 医学部, 助教 (50738515)

研究分担者 一宮 慎吾  札幌医科大学, 医学部, 教授 (30305221)
高野 賢一  札幌医科大学, 医学部, 教授 (70404689)
亀倉 隆太  札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404697)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードT 細胞疲弊 / アレルゲン免疫療法
研究実績の概要

アレルゲン免疫療法(allergen immunotherapy, AIT) は根治が期待できる唯一のアレルギー性鼻炎の治療法である。しかし、無効例が存在することや治療効果を予測するバイオマーカーが確立していない問題点がある。AIT の更なる普及のためには、奏効率の向上とバイオマーカーの発見が喫緊の課題である。われわれはこれまでの舌下免疫療法施行例の検討で、特定の CD4 T 細胞サブセットの免疫疲弊(exhaustion) が AIT の新たな免疫学的メカニズムとして重要な役割を担っていると仮説を立てた。T細胞疲弊とはT 細胞の機能低下状態であり、慢性感染症やがんにおいて T 細胞受容体を介する抗原特異的シグナルの持続および不安定な共刺激・共抑制シグナル(CD28 や PD-1 など)が引き起こす。自己免疫疾患やアレルギー疾患に対して、 T 細胞疲弊が治療標的となる可能性がある。
免疫療法に伴い増加する疲弊 CD 4 T 細胞の機能を明らかにすることで、AIT の免疫学的メカニズムの全容解明と治療効果を予測するバイオマーカーの発見に繋げたい。本研究では、T 細胞疲弊の観点からAIT の免疫学的メカニズム、特殊な機能をもったアレルギー関連細胞としてのTfh2 細胞によるアレルギー性鼻炎の病態を明らかにし、新規治療法の開発や免疫疲弊を人為的に制御する新たなモダリティの開発に繋げることを目的としている。すなわち、AIT によりCD4 陽性T 細胞サブセット、特にTfh2 細胞に疲弊現象が起きているのか? 治療によりどのようなTfh2 細胞の機能変容が起きて治療効果に結びついているのか? T細胞疲弊の誘導がアレルゲン免疫療法の奏効率の上昇に繋がるのか?を明らかにする。

現在までの達成度
現在までの達成度

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度はAIT開始後24か月目の症例を追加して検討することができ、予備実験で得られていたAIT 開始後 24 か月目において開始前と比較して PD-1 陽性 Tfh2 細胞が増加するという結果の統計学的有意性を確認することができ、さらに、AIT 開始後 24 か月目において開始前と比較してKi-67陽性Tfh細胞とIL-4陽性Tfh細胞が減少するという、Tfh細胞疲弊を示唆する本研究課題の目的を達成する上で重要な知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

次年度はAIT 患者の治療前と治療開始後24か月以降 (30, 36 か月目) の長期症例が追加される予定であり、症例数を増やして検討を進めていく予定である。Tfh2 細胞 (CD3+CD4+CXCR5+CD45RA-CCR6-CXCR3-) の疲弊分子 (PD-1, Tim-3, TIGIT, CD39 など) や細胞増殖能のマーカーである Ki-67、アレルギーの病態に関与の強い IL-4 や IFN-といったサイトカインの免疫染色を行い、フローサイトメトリーで各陽性細胞の割合について治療開始前後の比較検討を行う。さらに、治療前と長期 AIT 治療後(24 か月目以降)の Tfh2 細胞の表現型の解析のために、セルソーターで単離した Tfh2 細胞(または Tfh 細胞)のTfh 細胞関連遺伝子 (BCL6, IL-21, IL-4 など)の比較検討を行う。また機能解析として、セルソーターで単離した Tfh2 細胞(または Tfh 細胞)と B 細胞との共培養の系で IgE 産生を AIT 治療前と治療開始後で比較検討し、疲弊 Tfh2 細胞の機能的役割を明らかにしていく予定である。さらに、長期 AIT 治療群(24か月目以降)をヨーロッパアレルギー学会の症状薬物スコア (combined symptom and medication scores: CSMSs) を用いて治療効果良好群 (responder) と 不良群 (non-responder) に分類し、2 群間での治療開始前、長期 AIT 治療後(24か月目以降)それぞれの Tfh2 細胞(または Tfh 細胞)の遺伝子発現プロファイル(遺伝子シグネチャー)についてトランスクリプトーム解析または具体的な遺伝子については real-time PCR 等で比較検討を行う。特に疲弊遺伝子シグネチャーについて responder と non-responder での違いを明らかにし、治療効果の予測に繋がる遺伝子の発見に繋げたい。候補遺伝子が発見された場合には、フローサイトメトリー や ELISA 等の手法で蛋白レベルでのバリデーションを行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

現在研究室で使用している物品を中心に使用し、消耗品の購入が主たる物品費の使用目的であったため、予定よりも使用額が低く進んでいるため。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Self-reported Smell and Taste Disorders in Patients With COVID-19: A Japanese Single-center Study2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Yamamoto, Yoshihiro Fujiya, Koji Kuronuma, Noriko Ogasawara, Tsuyoshi Ohkuni, Shin-Ichi Yokota, Satoshi Takahashi, Kenichi Takano
    • 雑誌名

      In Vivo

      巻: 36 ページ: 918-924

    • DOI

      10.21873/invivo.12781

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Narrow band imaging accentuates differences in contrast between cartilage and perichondrium in the elevation of the muco-perichondrium flap during septoplasty and open septorhinoplasty2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Yamamoto, Tsuyoshi Okuni, Makoto Kurose, Takuya Kakuki, Masaya Nakano, Hiroshi Sakamoto, Kenichi Takano
    • 雑誌名

      Auris Nasus Larynx

      巻: 49 ページ: 973-979

    • DOI

      10.1016/j.anl.2022.03.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Takumi-Tanimukai Y, Yamamoto S, Ogasawara N, Nakabayashi S, Mizuta K, Yamamoto K, Miyata R, Kakuki T, Jitsukawa S, Sato T, Tsutsumi H, Kojima T, Takano K, Yokota S. A hydroxypropyl methylcellulose plaque assay for human respiratory syncytial virus.2022

    • 著者名/発表者名
      Yuka Takumi-Tanimukai, Soh Yamamoto, Noriko Ogasawara, Sayaka Nakabayashi, Katsumi Mizuta, Keisuke Yamamoto, Ryo Miyata, Takuya Kakuki, Sumito Jitsukawa, Toyotaka Sato, Hiroyuki Tsutsumi, Takashi Kojima, Kenichi Takano, Shin-Ichi Yokota
    • 雑誌名

      J Virol Methods

      巻: 304 ページ: *-*

    • DOI

      10.1016/j.jviromet.2022.114528

    • 査読あり
  • [雑誌論文] COVID-19 における嗅裂閉鎖所見と嗅覚障害の検討.2022

    • 著者名/発表者名
      山本 圭佑, 藤谷 好弘, 山 直也, 黒沼 幸治, 小笠原 徳子, 横田 伸一, 高橋 聡, 高野 賢一
    • 雑誌名

      日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌

      巻: 2 ページ: 49-54

    • DOI

      10.24805/jiaio.2.2_49

    • 査読あり
  • [雑誌論文] IgG4関連疾患に伴う鼻副鼻腔病変2022

    • 著者名/発表者名
      山本 圭佑
    • 雑誌名

      日本鼻科学会会誌

      巻: 61 ページ: 229-230

    • DOI

      10.7248/jjrhi.61.229

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hemitransfixionアプローチ鼻中隔前弯矯正術におけるDual Knot Fixation法の有用性に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      大國 毅, 山本 圭佑, 高野 賢一
    • 雑誌名

      日本鼻科学会会誌

      巻: 61 ページ: 632-639

    • DOI

      10.7248/jjrhi.61.632

    • 査読あり
  • [学会発表] IgG4 関連疾患における末梢ヘルパー T 細胞サブセットの役割の検討2023

    • 著者名/発表者名
      亀倉隆太、山本圭佑、大國 毅、神田真聡、高橋裕樹、高野賢一
    • 学会等名
      第 14 回 IgG4 関連疾患学会学術集会
  • [学会発表] 好酸球性副鼻腔炎患者における嗅覚障害と嗅球の検討2022

    • 著者名/発表者名
      山本圭佑,宮田 遼,小笠原徳子,亀倉隆太,大國 毅,高野賢一
    • 学会等名
      第61回日本鼻科学会総会・学術講演会
  • [学会発表] 内視鏡下鼻副鼻腔手術に対する術中視覚誘発電位の使用経験2022

    • 著者名/発表者名
      山本圭佑,大國 毅,角木拓也,黒瀬 誠,高野賢一
    • 学会等名
      第23回耳鼻咽喉科手術支援システム・ナビ研究会
  • [学会発表] 副甲状腺癌症例2022

    • 著者名/発表者名
      山本圭佑,山下智久,長南新太,赤澤史子,角木拓也,黒瀬 誠,高野賢一
    • 学会等名
      第2回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
  • [学会発表] シンポジウム「アレルギー疾患における上皮バリア異常の意義. アレルギー性鼻炎の病態形成における鼻粘膜上皮の役割」2022

    • 著者名/発表者名
      亀倉隆太, 山本圭佑, 一宮慎吾, 高野賢一
    • 学会等名
      第71回日本アレルギー学会学術大会
  • [学会発表] Interaction between peripheral T helper cells and CD11c+CD21- B cells underlies the pathogenesis of IgG4-related disease.2022

    • 著者名/発表者名
      Kamekura R, Yamamoto M, Yamamoto K, Takahashi H, Takano K, and Ichimiya S.
    • 学会等名
      American Academy of Allergy, Asthma and Immunology (AAAAI) Annual Meeting 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 梢ヘルパー T 細胞と濾胞外 B 細胞の相互作用が IgG4 関連疾患の病態形成に関与する2022

    • 著者名/発表者名
      亀倉隆太,酒本博史,村山公介,山本圭佑,高野賢一
    • 学会等名
      第35回日本口腔・咽頭科学会総会ならびに学術講演会
  • [学会発表] IgG4 関連疾患における末梢ヘルパー T 細胞と濾胞外 B 細胞の機能的役割2022

    • 著者名/発表者名
      亀倉隆太,山本圭佑,神田真聡,山本元久,高橋裕樹,高野賢一
    • 学会等名
      第30回日本シェーグレン症候群学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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