研究課題/領域番号 |
22K09675
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
村山 正和 昭和大学, 医学部, 助教 (40927802)
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研究分担者 |
吉村 清 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30346564)
倉増 敦朗 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90302091)
細沼 雅弘 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (20836457)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 短鎖脂肪酸 / 腸内細菌 / 腫瘍微小環境 / 癌免疫療法 / 頭頸部癌 |
研究実績の概要 |
目的: 近年、頭頚部癌の治療に免疫チェックポイント阻害薬が登場したが、有効性の改善が課題である。腫瘍微小環境へのアプローチとして腸内細菌やその代謝物である短鎖脂肪酸が注目されるがまだ不明な点が多く、我々は短鎖脂肪酸であるイソ酪酸に注目した。 in vitro及びマウスを用いたin vivoにおいてイソ酪酸の癌・免疫細胞に及ぼす作用および腫瘍微小環境における抗腫瘍効果への影響を明らかにする。本研究は、癌免疫療法の創薬や新たなバイオマーカーの発見につながる可能性があり、免疫チェックポイント阻害薬治療の有効性の改善が期待できる。 進捗状況: 研究1年目は、in vitroにおいて、癌細胞および T細胞の細胞濃度に差をつけて共培養することで癌免疫編集の癌とT細胞が拮抗する状態、癌が優位な状態、T細胞が優位な状態の3つの時相を再現した。癌と免疫細胞が拮抗している状態は、癌が増殖していくかどうかの今後の運命の分かれ道であり、腫瘍微小環境における癌免疫相互作用を解明していく上で 重要であると考えられるため、この共培養に7種類の短鎖脂肪酸を様々な濃度で投与した。一部の短鎖脂肪酸で、T細胞は抑制せず、癌細胞の増殖を抑制する濃度があることが分かり、短鎖脂肪酸による直接の抗腫瘍効果だけでなく、T細胞の免疫活性の影響もあるのではないかと考えた。その中でも最も抗腫瘍効果が高いと考えられたイソ酪酸に注目し、イソ酪酸が共培養下におけるT細胞の比率および表現型に及ぼす影響をフローサイトメトリーで解析した。イソ酪酸が免疫活性に寄与することが考えられた。さらに試行回数を重ねて検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
癌細胞および T細胞の細胞濃度に差をつけて共培養し、癌と免疫細胞が拮抗していると考えられる状態を確立するのに時間を要したが、7種類の短鎖脂肪酸を投与下の細胞増殖アッセイやフローサイトメトリーによるT細胞の細胞表面マーカーの発現解析は概ね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
vitroの試行回数を増やして検証し、担癌モデルマウスを用いてイソ酪酸を中心として短鎖脂肪酸の経口投与もしくは腹腔内投与を行い、腫瘍増大曲線や腫瘍組織の免疫染色やqPCR、フローサイトメトリーなどを用いて抗腫瘍効果の確認を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の研究用資材の納品が遅れたため。次年度では同様にqPCRやフローサイトメトリー、マウスの実験を含めて使用していく予定。
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