研究課題/領域番号 |
22K09679
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉川 直子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (50400924)
|
研究分担者 |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
花澤 豊行 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90272327)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / スーパーエンハンサー / H3K27ac / 免疫沈降法 |
研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌診療において新規治療戦略を開発するためには、癌細胞が治療抵抗性を獲得する分子機序の更なる解明が不可欠である。近年、遺伝子発現制御のゲノム科学の新しい概念として、ゲノム上で複数のエンハンサー(遺伝子の転写量を増加させる転写因子が結合するDNA領域)がクラスターを形成し、強力な転写制御を行うスーパーエンハンサー(SE)の存在が注目されている。SEの特徴としては、ヒストンH3K27のアセチル化が広範囲(10~20kb)に亘って起こっているゲノム上の領域であり、この領域に結合する転写因子や様々なコファクターと共に、転写活性の高い大きな複合体を形成している。SEは従来のエンハンサーより遥かに転写活性化が高く、この領域から転写される遺伝子群は、癌細胞において重要な役割を持つと考えられる。 頭頸部扁平上皮癌細胞株(HSC-3、SAS)に対して、分子標的薬(セツキシマブ)を暴露させた。H3K27ac抗体を用いた免疫沈降法(Chromatin immunoprecipitation: ChIP)と次世代シークエンサーを組み合わせたChIP-sequenceにより、時間経過に伴い形成されるSE領域を68箇所検出し、そこに含まれる131遺伝子を同定することができた。これらは、頭頸部扁平上皮癌において、治療抵抗性に関与する可能性のある候補遺伝子と考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頭頸部扁平上皮癌において、分子標的薬への治療抵抗性に関与する可能性のある複数の候補遺伝子を同定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
候補遺伝子の機能について、臨床検体での発現や予後に関与しているか否かも含めて検討を継続していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試薬等のストックがあり、節約が可能であったため。
|