研究課題/領域番号 |
22K09682
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
將積 日出夫 富山大学, 医学部, 客員教授 (60187507)
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研究分担者 |
高倉 大匡 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (50345576)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 近赤外線分光法 / 持続性知覚性姿勢誘発めまい / 前庭リハビリテーション / 大脳皮質 / ニューロフィードバック療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の他覚的な検査や新しい前庭リハであるNF療法への開発を目指して、PPPD患者の過剰適応に関連する条件下 (立位、歩行、体動時)での大脳皮質血流に及ぼす影響を検討するため、R5年度は以下の研究を実施した。 1.解析システムによる難治性慢性めまい患者の脳血流計測:PPPD患者を同様に通常の前庭リハビリテーション(リハ)が奏功しない難治性慢性めまい患者に対して、前庭感覚代行装置である頭部傾斜感覚適正化装置(Gravity Perception Adjustment Device:GPAD)を用いた前庭リハを実施し、前庭リハ開始前と6ヶ月後の脳血流計測をLIGHTNIRS(島津製作所製)2台により行った。計測時の姿勢は立位として、52チャンネルからのデータをNIRS-SPMを用いて、有意な血流変化が認められる大脳皮質領域を画像化した。 2.刺激システム構築:PPPD患者へ歩行時に視覚刺激を加えてめまい感を増悪させると被検者が転倒する危険性がある。そのため、被検者には立位姿勢を保持させ、頭を動かさないよう指示を出し、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)により視覚刺激を与えた。視覚刺激として、アイホン14でコストコの陳列棚の横をカートに360度カメラ(リコー)を設置して移動した際の動画を作成した。HMDに全天球タイプで動画を再生させた。映像酔いとして自覚症状をSimulator sickness questionnaireにてスコア化した。めまい感はVisual vertigo analogue scaleによりスコア化した。健常被検者に対してHMDで視覚刺激を与えた際の映像酔いについて検討した。 3.PPPD患者のリクルート:PPPDにて外来受診中の患者に対して次年度に予定される研究参加についてのリクルートを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PPPD患者へのめまい感を増悪する立位条件時に、360度カメラでスーパーの陳列棚の間の通路歩行時の動画映像をHMDで被検者に与える刺激システムを試作した。しかしながら、試作した視覚刺激システムでは、カラーコントラストの強い画面が揺れて動くために健常被検者でもめまいと嘔気が短時間に誘発されることが分かり、PPPD患者に適用するのは困難であることが明らかとなった。そこでヘッドマウントディスプレイ( HMD)にて被検者に与える刺激システム にはアニメーションを用いることに変更した。
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今後の研究の推進方策 |
PPPD患者へのめまい感を増悪する過剰適応条件として、視覚刺激には映像酔いを生じないコンビニの陳列棚の間の通路歩行時等の映像を用いる必要がある。そのため、コンビニの陳列棚に類似した構造をアニメーションで作成し、カラーコントラストを調整することで健常被検者にて映像酔いを生じないように視覚刺激システムを変更する必要がある。PPPD患者は、確立した診断システムにより年間20人程度の新規患者が受診しており、10人程度が再診患者として治療を継続している。その1部には口頭で研究参加のリクルートをして、同意を得ている。PPPD患者のリクルートは比較的容易にできることが予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
PPPD刺激システムを使用した視覚刺激はコンビニの陳列棚の間の通路歩行時の映像をHMDで被検者に与えた際に、カラーコントラストが強く、めまいと嘔気が生じたため。この対応としてヘッドマウントディスプレイ( HMD)にて被検者に与える刺激システムにアニメーションを用いることとした。アニメーションはR6年度上四半期までに作成予定である。
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