研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌におけるp63依存性JAM-Aを用いた補助診断への応用を目的としては、癌の悪性度におけるJAM-A/S100A7の発現および局在の変化を詳細に解析し、癌患者の血清中の可溶化JAM-Aを測定する。癌細胞および癌幹細胞に対しての分子標的治療への応用のために、p63依存性JAM-Aの発現調節機構を、癌細胞株、初代培養癌細胞、分離培養癌幹細胞および正常細胞を用いて総合的に解析する。前述を目的として、研究を継続しており、これまでのところ、頭頸部扁平上皮癌細胞において、p63,JAM-A,CLDN-1, HDAC1の高発現を見出した。また、JAM-AにおいてはmRNAレベルより増加が認められているを確認した。さらに癌患者血清において、可溶化JAM-Aの著しい増加も確認できた。さらに、JAM-Aを高発現している癌細胞株を用いたJAM-Aの発現調節機構を細胞内シグナルおよび糖代謝の面から解析しており、これまで、解析に適しているJAM-A高発現頭頸部扁平上皮癌株として、Detroit562細胞株を見出し、様々なシグナル伝達阻害剤を処置して解析を行っている。結果の一部として、JAM-Aは、癌の悪性化に密接な関与が考えられているWnt, EGFR, p38 MAPK, Hedgehogシグナルの関与が認められた。また癌細胞株に低酸素処置を行ったところ、p63およびJAM-Aの低下がみられ、JAM-AのsiRNA処置より癌細胞の増殖能、遊走能および浸潤能は明らかに低下していた。
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