研究課題/領域番号 |
22K09689
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
金子 富美恵 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40328414)
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研究分担者 |
河野 正充 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20511570)
高原 幹 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50322904)
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90336892)
藤代 拓 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40934807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 扁桃病巣疾患 / 口腔常在菌叢 / 単一細胞解析 / 口蓋扁桃摘出術 |
研究実績の概要 |
扁桃病巣疾患、すなわち扁桃が原病巣となり遠隔臓器に反応性の器質的または機能的傷害を引き起こす疾患群には、掌蹠膿疱症(PPP)、IgA腎症(IgAN)などが含まれる。起因として扁桃における常在菌に対する免疫寛容の破綻による過剰免疫応答 が挙げられており、扁桃関連自己免疫・炎症疾患症候群(tonsil induced autoimmune/inflammatory syndrome: TIAS)として提唱されており、その治療として口蓋扁桃摘出術が有効である。本研究では、扁桃病巣疾患の治療目的に摘出された口蓋扁桃における、口腔常在菌に対し過剰な免疫応答を示す扁桃リンパ球を、単一細胞解析(single-cell RNA sequencing: scRNA-seq)により同定することで、病態への関与の解明、口蓋扁桃摘出術の有効性を明らかにする。 令和4年度の成果を報告する。サンプルは、扁桃病巣疾患としてIgAN患者、対照として睡眠時無呼吸症候群患者から、摘出口蓋扁桃、また術前および術後の末梢血を採取し、それぞれより分離した単核球を用いた。今年度は、口蓋扁桃摘出術前後での病態変化の傾向を把握するため、網羅的遺伝子発現解析(bulk RNA-seq)にて発現動態の変化を評価した。 1)術前末梢血単核球と比較し、術後末梢血単核球では、適応免疫応答、α/β T細胞活性化に関与する遺伝子群の発現が低下していた。 2)摘出口蓋扁桃と比較し、術後末梢血単核球では、適応免疫応答、B細胞受容体シグナル伝達、T細胞変調に関する遺伝子群の発現が低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
扁桃病巣疾患は高頻度の疾患ではないため、研究対象となる口蓋扁桃摘出術適応患者のリクルートが軌道に乗るまで時間を要したが、実験手順、手技が確立し、bulk RNA-seqの結果をふまえ、T細胞レパトア解析をscRNA-seqにて開始する方針を立て得た。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はscRNA-seqを開始、また再現性の確認目的に、bulk RNA-seq、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、定量PCR(qPCR)を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度中に検討する予定であった扁桃検体の採取目的の手術が次年度に行われることとなり、研究に使用する高額な器具、薬品の購入資金の確保のため、2022年度の残額を次年度に使用することとした。
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