研究課題/領域番号 |
22K09722
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
成田 憲彦 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (80345678)
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研究分担者 |
伊藤 有未 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特命助教 (00646458)
高林 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (70397272)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 甲状腺がん / 穿刺吸引細胞診(FNA) / 液状化細胞診(LBC) / IL-1RN |
研究実績の概要 |
甲状腺良性腫瘍(n=5)と乳頭癌(n=5)のmRNAでPCRアレイにより2群間の遺伝子発現の差違を解析した。この結果、乳頭癌でIL-1RNが約7.4倍に高発現していることが解った。臨床応用可能なマーカーは免疫染色で判定できるものが理想である。そこでFFPEブロックを用い、IL-1RNの発現を免疫組織染色で確認した。甲状腺良性腫瘍20例、乳頭癌20例を免疫染色したところ、IL-1RNは乳頭癌で有意に高発現していることを確認した。次に初期実験として実際のFNAサンプル(LBC)でもIL-1RNが染色できることを手染めによる免疫染色で確認した。当院ではLBCサンプルの免疫染色は、自動免疫染色装置(Leica社製BOND-III)で行っている。実臨床と同じくIL-1RNを自動免染できるかを20例のLBCサンプルで検討したところ、問題なく染色できることが解った。更に23例を追加検討し、手術標本の最終病理結果と比較した。この結果、IL-1RNの陽性的中率は100%であることが明らかとなった。また既知のマーカーであるCD15との併用で診断すると、正診率81%、感度も77%と良好な結果が得られた。これはFNAの結果、細胞形態から診断がつかなくとも、IL-1RNあるいはCD15の少なくともどちらかが陽性であれば、100%悪性腫瘍であり全悪性腫瘍の77%を検出している、ということを意味する。この結果はIL-1RNの臨床応用の可能性を示すものと考える。現在症例数を120~150例に増やし、甲状腺癌診断マーカーとしての確立・実用化を研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在計画通り、症例数を蓄積中である。しかしながらIL-1RN抗体の国内欠品のため今後約2~3ヶ月の遅延が生じる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
IL-1RNは胃癌などで発現し、発癌リスクに関与する報告があるが、甲状腺癌での報告は極めて少ない。PI3K-AKTを介して増殖・浸潤に関与しうるが、甲状腺癌ではその機能も全く解っていない。そこで甲状腺癌細胞株を用い、IL-1RNの機能解析を行った。MTTアッセイでIL-1RNが濃度依存性に細胞増殖を誘導することが判明した。この結果を踏まえ、引き続き本研究でIL-1RNの甲状腺癌における機能(悪性転化・増殖能・浸潤能への作用)を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
LBC検体の免疫細胞染色の至適化が完了した後は、IL-1RN抗体の購入のみでサンプル数を増やすことができたため。次年度で培養細胞や各種機能アッセイに使用する予定である。
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