研究課題/領域番号 |
22K09724
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
岡野 高之 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60642931)
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研究分担者 |
山本 典生 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 部長 (70378644)
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50397634)
十名 洋介 京都大学, 医学研究科, 助教 (80898073)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 内耳 / 組織マクロファージ / 免疫学 / 難聴 |
研究実績の概要 |
かつて内耳は免疫学的に特異的な場所であるとされたが、その後組織マクロファージが内耳に定常状態で存在することが分かり、マクロファージが内耳の免疫において重要な役割を果たすことが示唆されている。現時点では内耳組織マクロファージはIba1やF4/80, CD11b, CD68などいくつかの代表的なマーカーで識別されるが、これららのマーカーが陽性である細胞は重なりあうものの多数の異なった亜型を含むHeterogeneous細胞集団だと予想される。 マクロファージの多様性を理解するために、我々はSingle RNA Sequencingを行うことを目指しており、本年度はその準備となるマクロファージの採取時期、細胞分離の条件、RNA抽出の条件を検討した。内耳の発生において個々の細胞の運命決定がほぼ完了し、聴覚の機能が発現していく新生仔のマウス内耳におけるマクロファージの亜型の分類を試みることとした。 F4/80をマーカーとして用いて、内耳からマクロファージを選別して取り出したのち、単一細胞RNAシークエンスを実施した。これまでマクロファージは表現型を変えながら複数の機能を持つことが予想されていたが、発現遺伝子でのクラスター解析を行ったところ、6-8のサブグループに分けられる可能性が判明した。今後、特異的な発現遺伝子をマーカーとして用いてそれぞれのサブグループのマクロファージの局在や形態を解析するとともに、内耳における役割をGO termを用いたannotationを行うことで解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目はRNA Sequencingの条件検討はいくつかの場合を想定しておこなった。初年度内に完了した条件検討により、2年目には実際に単一細胞RNAシークエンスをおこない、さらに遺伝子の発現様式によるクラスター解析も行うことができた。おおむね順調に進展している
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今後の研究の推進方策 |
引き続き一細胞RNAシークエンスを実施する予定である。マクロファージの亜型を分類することにより、それらの 機能や役割を推定することが可能となり、またマクロファージを標的として難聴の新規治療法の開発につながると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍やウクライナ戦争により物品の流通の滞りも見られたが、想定よりも実験の消耗品や試薬、動物代などが抑制できたため、次年度使用額が生じた。今後マクロファージの表現型の解析を精力的に行い、いくつかのタンパクについて治療標的の候補となるものを同定する。
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