研究課題/領域番号 |
22K09739
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
飯沼 智久 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (00748361)
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研究分担者 |
平原 潔 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00707193)
栗田 惇也 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (80867268)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 舌下免疫療法 / 花粉症 / アレルギー性鼻炎 / T細胞 / シングルセル |
研究実績の概要 |
通年性アレルギー性鼻炎やスギ花粉症は日本国民の約三分の一が罹患している国民病であり、唯一の体質改善療法となる抗原特異的舌下免疫療法に期待が寄せられている。しかし、アレルギーや膠原病などの免疫系の疾患において、「寛解」の状態は特殊であるが、なぜ舌下免疫療法を行うことで根治となるのか作用機序が明らかでない。本研究では、この舌下免疫療法の作用機序の解明からアレルギー疾患の病態解明へとつなげていきたいと考えている。先行研究として、3被検者に舌下免疫療法前・1年施行後の検体のCD4メモリーT細胞を単離しシングルセル解析とレパトア解析を行っていたが、2022年度は被検者数を増やし計7被検者系14検体に増やして検討を行った。検体は舌下免疫療法施行前後のPBMCであり、スギ抗原で培養を行っている。検体数を増やして検討した結果、舌下免疫療法の効果の有無で比較が可能であった。すると、以前より我々が提唱している病因となり得るT細胞である“Pathogenic Th2細胞(Tpath2細胞)”が舌下免疫療法後に低下しており、機能の低下したTh2細胞が舌下免疫療法後には増加し、抑制性T細胞も増加していることが分かった。その作用機序に関しては機能的なTh2細胞がMusculin(MSC)という転写因子を発現することで、機能が抑制されているTh2細胞へ変化する可能性を見出した。さらに機能が抑制されたTh2細胞が、炎症を抑制するTreg細胞へと分化する可能性を見出している。レパトアで比較しても、舌下免疫療法前後で同様のレパートリーを示す細胞集団を解析していると思われ、スギ花粉特異的な細胞集団を観察している可能性が高いと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はシングルセル解析の検体数を増やして解析を行うことができ、その結果、舌下免疫療法の作用機序にはMSCという因子が重要なのではないか、という革新的な発見をすることができた。Proof of conceptとしては今後の研究次第だが、まずはカギとなる因子を発見できたことで第一段階が終了できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は舌下免疫療法の効果のカギとなる可能性を秘めたMSCという因子に関して検証していく予定である。効果の予測因子となりうるかのサロゲートマーカーの可能性や、感作や発症などといったアレルギー性鼻炎の病態の進展とともにどのように変化をするものなのか検証し、MSC自体のアレルギー疾患への関与を検討したい。また ,2023年3月は花粉の大量飛散であったため、症状や発症との関連を見ることができるかもしれない。引き続き舌下免疫療法患者からの検体は採取しており、検体数を増やすことは可能である。 多角的にとらえるために、好酸球性副鼻腔炎など他の上気道アレルギー疾患におけるMSCの関与を検討してみることも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
シングルセル解析は桁が異なる多大な費用が掛かるため、計画書に記載の通り他予算でおこなっている。その実験の補助費用にも多くかかる予定であったが、予測よりは少額となった。
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