研究課題/領域番号 |
22K09740
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
櫻井 大樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10375636)
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研究分担者 |
石井 裕貴 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (40568250)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 小児 / 発症因子 / 発症機序 / 花粉症 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年の小児における花粉症の有病率増加を受け、花粉症発症の低年齢化を引き起こす要因や発症に関わる因子について調査・解析することで、発症機構を明らかにし、発症マーカーや有効な予防対策の確立および新規治療法の開発への展開を目的としている。近年の全国調査の結果から、山梨県は20年前から継続してスギ花粉症有病率が全国で最も高い県であり、花粉症研究を行う地域として、また今後の花粉症の推移を予想する上でも適した地域であると考える。 本研究では、山梨大学医学部社会医学講座と連携し全国出生コホート調査(以下エコチル調査)に参加しており、ノンバイアスな大規模集団に対し、母子を紐付けての横断的・縦断的な調査が可能となる。2022年度も8歳児に対し総合健診が実施され、非特異的IgE、スギ・ダニ特異的IgE抗体検査を含む生化学検査が行われた。一部対象者については、腸内細菌叢の解析を進めている。より詳細に症状と生化学データの関連を検討するため、花粉症症状に関する追加の問診調査について申請を行った。山梨県内複数ヶ所でスギ・ヒノキ花粉の観測を行っており、花粉抗原への感作や症状の増悪との関連について、花粉飛散量の影響についても調査を進めている。 また、発症および寛解に関わる免疫学的変化について、舌下免疫療法を開始した小児より採取した末梢血リンパ球より免疫細胞の解析を進めた。山梨大学医学部の学生と同附属病院の職員を対象にスギ花粉症未発症者ボランティアを募集し、2022年度の新規発症の有無について追跡調査を行った。具体的には、シーズン前後と1年後に問診と3回の血液検査とを行い、新規発症者と未発症者におけるIgE抗体の変動など要因について比較検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アレルギー性鼻炎の発症因子の研究について、エコチル調査において現在までに2019年度から2021年度の県内8歳児総合健診の検査結果(1300人程度)が出ており、順次解析を行っている。2022年度の検査結果については現在収集中である。最終的には合計1700人程度のデータを見込んでいる。利用可能なスギ花粉・ダニそれぞれに対する特異的IgE抗体とその他生化学検査の結果を利用し、母子関係、感作と脂質関連物質等の関係について解析を進めている。 スギ・ヒノキ花粉の飛散量観測については2022年度も施行し、花粉飛散量の地域差や年次変動を確認することができた。発症および寛解に関わる免疫学的変化について、舌下免疫療法を開始した小児より採取した治療前後の末梢血リンパ球を、アレルゲンで刺激し、シングルセル解析を行い、変動する免疫細胞、細胞集団についてデータ解析を開始した。スギ花粉症の新規発症者の追跡研究について、同意の得られたスギ花粉症未発症のボランティアに対し新規発症の有無について追跡を開始し、予定していた3回の血液検査を終えるとともに、新規発症例および未発症のままの登録者の存在を確認した。血清中の総IgE、特異的IgE抗体価、代謝物を測定し、発症前後の変動、発症の有無における差異について解析を開始している。計画した研究は概ね順調に開始し解析を進めている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
アレルギー性鼻炎の発症因子の研究について、エコチル調査と関連した2022年度の検査結果や腸内細菌叢の解析結果が出揃ったところで、改めて当初予定していた花粉症発症に関係する環境因子・遺伝因子について検討を行う予定としている。申請中の追加調査項目を含め、スギ花粉・ダニに対する特異的IgE抗体とその他生化学検査の結果をまとめ、母子関係、感作と脂質関連物質等との関係について発症因子の解析を進める。花粉飛散量と発症の関連についても、引き続き2023年度以降も県内複数地域での花粉飛散数観測を継続し関係解析を進めていく。 新規発症者の追跡研究については、得られた検体について、血清および細胞の代謝物解析を進め、シングルセル解析についても発症前後、発症の有無における特徴的な細胞の変化や差異を特定し、機序の解明、発症マーカー候補の解析を進めていく。それぞれの研究成果について随時、学会発表や論文投稿を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規発症者の追跡研究について、未発症者ボランティアの登録は順調に進み発症者および未発症者の確認ができ、血清IgE解析も進むことができたが、シングルセル解析について令和4年度施行まで至らなかったため、未使用額が生じた。解析細胞サンプルの収集ができており、準備は概ねできていることから、令和5年度にシングルセル解析に進む予定である。さらに血清および細胞の代謝物解析を進めていく予定であり研究費の使用を予定している。これらの解析より、発症前後、発症の有無における特徴的な細胞の変化や差異を特定し、機序の解明、発症マーカー候補の解析を進めていく。
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