研究課題
鼻副鼻腔内反性乳頭腫は再発や悪性転化を来たすが、それらを予測する方法は不明なままである。ナノスーツ-CLEM法は、走査型電子顕微鏡観察の際にナノスーツ溶液を塗布するのみで観察可能とする技術である。HPVウイルスが存続し続けるためには、HPV粒子を形成・放出することが必要であり、癌化することを目的としていない可能性がある。内反性乳頭腫は乳頭腫、異形成、癌が混在するため、ナノスーツ-CLEM法を使ってHPV粒子数の”分水嶺”を決めることができると考えた。新しい分水嶺による新規バイオマーカーの確立を目指す。HPV粒子観察技術の確立を目的とし、HPVタイプ6又はタイプ11が陽性となった喉頭乳頭腫を用い検討を行った。免疫染色でHPV-L1(カプシド蛋白)陽性部位において、ナノスーツ法で観察すると約50nmの微小粒子を核内に多数認めた。さらに同一部位を透過型電子顕微鏡で観察(戻し電顕法)で観察を行い、同様に約50nmの微少粒子を多数認めた。これらよりHPV粒子が可視化されたと考えた。さらにHPV粒子が観察される喉頭乳頭腫は予後不良な症例が多いことが明らかとなり、論文報告を行った。内反性乳頭腫症例の病理ブロック又新鮮組織からDNA/RNAを抽出しPCRベースでHPV検出可能な症例を抽出している。また、p16やHPV-L1、Hippo経路に関わる因子であるYAP等の免疫染色を行い陽性部位と臨床情報との相関がないか解析を進めている。今後、HPV-L1陽性部位をナノスーツ-CLEM法により詳細に観察を行う予定である。
3: やや遅れている
免疫染色の条件検討に予定より時間を要したためである。研究計画書に沿って研究を遂行できており、大きな予定変更は不要と考えている。
研究計画書の通り遂行していく。具体的にはp16やHPV-L1、Hippo経路に関わる因子であるYAP等の免疫染色を行うとともに、それぞれの因子に対してリアルタイムPCRを用いてmRNAの発現量解析を行う。また、ナノスーツ-CLEM法でHPV粒子数の測定に取り組む予定である。
免疫染色の条件検討に際しやや時間を要したため、購入する試薬量が計画より少なくなったためである。研究全体の変更は現時点では不要と判断しているため、最終的な使用額の変更はないと考えている。
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