研究課題/領域番号 |
22K09759
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南場 研一 北海道大学, 大学病院, 講師 (70333599)
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研究分担者 |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
北市 伸義 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 教授 (40431366)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 迷走神経 / 実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎 / EAU |
研究実績の概要 |
初年度である本年度はまず、マウス実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)の免疫に用いるぶどう膜炎惹起抗原ペプチドについて、従来使用しているhIRBP1-20からhIRBP651-670に変更をしてC57BL/6マウスEAUの発症率、重症度を確かめる予備実験を行った。迷走神経に関する先行研究ではC57BL/6マウスが使用されているが、C57BL/6マウスにおけるEAUは、従来当研究室で使用していたhIRBP1-20による免疫よりもhIRBP651-670による免疫の方が発症率、重症度が高いとの報告があり、本研究を遂行する上でhIRBP651-670によるC57BL/6マウスEAU研究がより望ましいと考えたからである。その結果、hIRBP651-670による免疫ではEAUの発症率がほぼ100%であること、炎症のピークが17日と早く、ピーク時の平均臨床スコアが2.5と高いことが確認された。 次に、迷走神経刺激装置の埋込については、コロナ禍での研究活動の制限のため次年度以降となることとなった。そのため、その代替研究として、迷走神経の切断によりEAUが増悪する可能性について検討することとした。当研究室において、麻酔下でのマウスの迷走神経の同定・切断と創部の縫合について手技の確立をおこなった。今後は迷走神経を切断したマウスにEAUを誘導し、EAUの発症率と重症度について迷走神経を切断していないマウスとの比較検討をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で当教室の研究室が稼働できない時期があったため、迷走神経刺激装置の埋込によるEAUの研究は2023年度以降におこなうこととなったため、研究がやや遅れている。刺激装置の埋込の前段階の研究として、迷走神経切断がEAUにどのような影響を及ぼすのか確認することとして、現在研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は迷走神経を切断したマウスにEAUを誘導し、EAUの発症率と重症度について迷走神経を切断していないマウスとの比較検討することで、EAUの病態に迷走神経が関与していることを明らかにする。 次に、C57BL/6マウスに迷走神経刺激装置を埋植し、迷走神経へ刺激を加える(VNS施行)群と迷走神経に刺激を加えない(VNS非施行)群とで、EAUの発症率、重症度に違いが生じるかどうかを検討する。 迷走神経刺激がぶどう膜炎の軽症化に繋がることが確認されれば、そのメカニズムを明らかにするため、 1)所属リンパ節における抗原特異的T細胞増殖反応の検討をおこなう。具体的には、免疫から7 - 10日目の所属リンパ節を取りだし、T細胞を分離する。IRBPペプチド、抗原提示細胞と共培養し、72時間後の抗原特異的T細胞増殖についてVNS施行群、非施行群の間で比較検討をおこなう。 2)眼内における交感神経および副交感神経の活性化の検討をおこなう。EAU誘導から10日目に眼球を摘出し、凍結切片を作成。免疫化学染色にて網膜血管部に分布している神経について活性化を確認する。具体的には、c-Fos陽性細胞、チロシン水酸化酵素(交感神経活性化マーカー)、コリンアセチル転移酵素(副交感神経活性マーカー)陽性細胞の集積部位およびその数を、VNS施行群、非施行群とで比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で当教室の研究室が稼働できない時期があったため、迷走神経刺激装置の埋込によるEAUの研究は2023年度以降におこなうこととなったため、使用予定額を下回る結果となった。来年度は刺激装置の埋込研究をおこなうよていであり、繰り越した金額をその費用に充てる予定である。
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