研究課題/領域番号 |
22K09771
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (30613236)
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研究分担者 |
須谷 尚史 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (30401524)
出来尾 格 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80338128)
土居 雅夫 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20432578)
白髭 克彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (90273854)
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Meibomian gland / MGD / Dry Eye / Microbiome / Lipidome / Sex Steroid Hormones |
研究実績の概要 |
・健常な若年者(25-35歳)および高齢者(60-75歳)、男女各10例において、視力測定ととともに涙液油層の厚みと涙液の安定性を計測し、細隙灯顕微鏡での眼瞼縁(マイボーム腺開口部周囲の変化)および角結膜所見をスコア化し、マイボーム腺の形態学的な変化をマイボグラフィーとレーザー共焦点顕微鏡で観察し、マイボーム腺の加齢性変化を総合的に捉えるためのデータ集積を行った。各データの解析は現在進行中であるが、まず、これまでマイボーム腺機能不全(MGD)の所見として2010年の日本の分泌減少型MGDの診断基準に含まれていた、マイボーム腺開口部周囲の4つの所見(①開口部の閉塞、②眼瞼縁の不整、③粘膜皮膚移行部の位置異常、④開口部の血管拡張)のうち、②、③、④の3項目が高齢者で有意に高かったが、①のみ差がなくほぼ同じスコアであった。このことは、これまで4つの所見が全て分泌減少型MGDの特徴的な所見とされていたが、②、③、④はマイボーム腺の加齢性変化であり、①が病的変化(閉塞性MGD)である可能性を示唆している。Preliminaryな内容ではあるが学会で口演した。今後、他の検査所見と合わせて解析を進める予定である。 ・小児において見過ごされがち、かつ難治性で重度の視力低下をきたしうる眼瞼角結膜疾患についての世界11カ国の医師16名でディスカッションを重ね、2000年に我々が提唱した「マイボーム腺炎角膜上皮症meibomitis-related keratoconjunctivitis(MRKC)」の疾患概念を含め、Pediatric Blepharokeratoconjunctivitisとしてコンセンサスを得て論文化された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者におけるマイボーム腺分泌脂(マイバム)の脂質分析、DNAシーケンスを用いた常在細菌叢の分析など、順調に症例数を増加し検討を続けることが出来ている。一方で、MGD患者のサンプル採取がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、MGD患者においても健常者と同様の詳細な検査を行うとともに、マイバムの採取を進め、脂質分析とともにDNAシーケンスを用いた眼瞼皮膚、眼瞼結膜嚢のマイクロバイオーム分析、抗菌薬内服前後の細菌叢の変化などを明らかにし、MicrobiomeとLipidomeの関連を解明を進めるとともに、加齢性MGDと閉塞性MGDの病態を明らかにし、適切な治療法の選択へとつなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイバムのマイクロバイオーム解析の必要額が年度末まで判明しなかったため支出を控えていたため。今年度、マイクロバイオーム解析症例数増加、アクネ菌亜種解析使用予定である。
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