研究課題/領域番号 |
22K09799
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
永井 紀博 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (10327611)
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研究分担者 |
小澤 洋子 聖路加国際大学, 藤田医科大学東京先端医療研究センター, 教授 (90265885)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 脈絡膜 / 血流 / 網膜色素上皮異常 / 糖尿病網膜症 |
研究実績の概要 |
脈絡膜毛細血管板は脈絡膜の内層に位置し、密な有窓型の毛細血管網からなり、網膜色素上皮や視細胞などの網膜外層を栄養する。このため、脈絡膜毛細血管板の循環障害は加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の病態に影響する可能性がある。 健常者と加齢黄斑変性の僚眼の脈絡膜毛細血管板循環を比較し、加齢黄斑変性の僚眼でみられる血流低下を血流の不均衡に網膜色素上皮異常と脈絡膜大血管の非対称性が関わることを明らかにし、第62回日本網膜硝子体学会総会で学会発表し、Journal of Clinical Medidine誌に論文発表した(Nagai N et al:J Clin Med. 2023 Feb;12(4):1360.)。 さらに糖尿病網膜症に関連して、糖尿病患者では網膜症発表前に脈絡膜毛細血管板の血流低下を血流の不均衡がみれること、そのリスクファクターに高血圧と酸化ストレスが関与することを明らかにし、第29回日本糖尿病眼学会総会で学会発表し、Scientific Reports誌に論文発表した(Nagai N et al:Sci Rep. 2023 Dec;13(1):22570.)。また糖尿病では網膜症発表前にSpatial-sweep steady-state pattern網膜電図(EvokeDx)のsignal to noise ratioが低下し、糖尿病患者における微細な網膜機能の変化が生じ、この変化は網膜神経および血管の変化と相関することを明らかにした(Nagai N et al: Sci Rep. 2023 Aug;13(1):13686.) 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脈絡膜毛細血管板の循環障害が加齢黄斑変性、糖尿病網膜症の初期病態に関与する可能性を明らかにし、学会報告、論文報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
加齢黄斑変性では黄斑新生血管を有する滲出型、新生血管を生じずに視細胞、網膜色素上皮の萎縮が生じる萎縮型でも網膜の萎縮が生じ、重篤な視機能傷害の原因となる。黄斑の萎縮の光干渉断層計像にRetinal Pigment Epithelial and Outer Retinal Atrophy(RORA)がある。RORAを有する加齢黄斑変性眼について、RORAと視機能や網膜所見との相関、RORA進行のリスクファクターを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の投稿料金が為替の変動のため変更になったため。本年度の論文投稿料金として使用する予定である。
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