研究課題/領域番号 |
22K09800
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
堀 裕一 東邦大学, 医学部, 教授 (70379171)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 眼表面温度 / 前眼部血流 / オキュラーサーフェス / ドライアイ / 眼表面炎症 / コンタクトレンズ |
研究実績の概要 |
本研究は、オキュラーサーフェスの恒常性維持に関わる眼表面温度と前眼部血流が、ドライアイの重症度とどのように関わっているか、また炎症や涙液動態とどのように関わっているかを検討することを目的としている。本年度は1年目であるが、本年度の実績としては、コンタクトレンズ装用による影響が眼表面温度や前眼部血流に与える影響について臨床研究を行うべく、倫理委員会申請等の準備を行った。また、「ドライアイ患者の重症度による眼表面温度と前眼部血流の変化の検討」について、当院で行っている臨床研究(ドライアイ患者における眼表面温度と眼血流の関連:M21093 )においてひきつづき研究対象者のリクルートを行っている。現在までに約80名の患者が登録された。2年目(2023年度)に一度中間解析を行いたいと考えている。また、前年まで行ってきた文科省科研費研究(角膜知覚および眼表面温度が寄与するオキュラーサーフェスの恒常性維持メカニズム:19K09961)においてマスク関連ドライアイについての臨床研究を行ったが、その研究結果に考察を加えて、論文を投稿し、Scientific Reportsに受理され公表した(Itokawa T, et al. Association between mask-associated dry eye (MADE) and corneal sensations. Scientific Reports 13: 1625, 2023)。 基礎研究としては、ドライアイによる神経障害性疼痛のメカニズムを、三叉神経節の神経細胞とサテライトグリア細胞の連関機構に着目して解明するために、VDT user ドライアイラットモデルを用いた研究を行い、三叉神経節における神経障害性疼痛に関わる遺伝子発現について検討を行った。引き続きこの系を用いて実験を続行していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1~2年目の研究予定として、「眼表面への様々な負荷が眼表面温度および前眼部血流に与える影響の検討」と「ドライアイ患者の重症度による眼表面温度と前眼部血流の変化の検討」を挙げていた。この二つに関しては、東邦大学医療センター大森病院において、臨床研究が順調に走っている。基礎研究においてもドライアイラットモデルを用いた研究が結果を出しており、進捗状況を2023年4月の国内(日本眼科学会総会)および海外学会(ARVO2023)に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後2年目以降も現在の臨床研究(ドライアイ患者における眼表面温度と眼血流の関連:M21093)を続行していく予定である。また、2023年4月に新たな臨床研究(コンタクトレンズ装用におけるPVP配合点眼後の涙液動態および眼表面温度の経時的な変化について:A22075)が承認されたので、研究対象者(ボランティア)を随時組みいれて研究を開始している。引き続き、「眼表面への様々な負荷」による眼表面温度および眼血流の影響を探索していきたい。 一方、動物モデルを用いた基礎研究に関しては、以前から当講座との共同研究を行っていた金沢医科大学(益岡尚由教授研究室)および東邦大学医学部生理学講座(赤羽悟美教授研究室)とのディスカッションをさらに進めながら、眼表面温度と前眼部血流が角膜知覚神経に与える影響について検討する予定である。
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