研究課題/領域番号 |
22K09803
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
五味 文 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80335364)
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研究分担者 |
福山 尚 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30814438)
小椋 有貴 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60817451)
岡留 剛 関西学院大学, 工学部, 教授 (20396120)
角所 考 関西学院大学, 工学部, 教授 (50263322)
井村 誠孝 関西学院大学, 工学部, 教授 (50343273)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脈絡膜厚 / 自律神経機能 / 脈絡膜新生血管 |
研究実績の概要 |
中心性漿液性脈絡網膜症(以下CSC)患者の視力悪化を抑制すべく、研究に取り組んでいる。令和4年度は、CSCの発症メカニズムならびに病状悪化要因を、自律神経機能から推定を試みるとともに、動物実験による検討を行った。また多数症例の長期臨床経過から、視力悪化に至る所見の抽出を試みた。さらに患者の見え方から疾患を同定することを目標に、現在普及している歪視の評価法の検証を行った。 CSC発症メカニズムと自律神経との関わりに関しては、瞳孔反応を用いて検証することとし、片眼性のCSC例と正常コントロールとで、健側眼における光に対する瞳孔反応を比較した。またストレスを加えるために、途中で暗算タスクも加えた。その結果、CSC例では自律神経のアンバランスが生じていることがわかった。同時に、ラットを用いて拘束ストレス下での脈絡膜厚変化を調べたところ、ストレス負荷後短時間で脈絡膜厚は増大し、翌日にはもとに戻っていた。これらの結果から、CSC例の発症には、急性ストレスや自律神経機能不全が関わっていることが明らかとなった。 多施設症例の検討からは、遷延化しやすいCSC例、ならびに視力悪化要因となりうる脈絡膜新生血管続発症例の特徴の解析を行った。再燃を繰り返すCSC症例のベースライン特性としては、ステロイド治療歴、両眼性、これまでの発症既往、フルオレセイン蛍光眼底造影で弱い蛍光漏出、少ない網膜下液となり、脈絡膜新生血管を後に発症するリスクは、高齢、CSCの遷延、中心窩のフルオレセイン蛍光漏出となった。 CSC患者の見え方については、アムスラーチャートとMチャートの2種類の歪視検査を用いて検証したところ、両方の検査で歪視を自覚した症例は75%で、10%の例ではどちらの検査を用いても、変視を検出できないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CSCの視力悪化の要因について一定の成果は出ているが、一部の研究において、進捗に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
工学部との共同研究で進めている内容について、より密に連携をとりながら、CSC例における視機能評価をさらに深めていきたい。その成果を、社会全体に広げる方法についても考えたい。
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