| 研究実績の概要 |
インスリン抵抗性は2型糖尿病発症の主な前兆であるが、PPARγのCdk5によるリン酸化が、脂肪組織で糖尿病誘発性遺伝子の発現を促進することが報告され、この修飾を阻害することは、PPARγに結合するチアゾリジンジオンや、PPARγの部分的アゴニストあるいは非アゴニストなどの抗糖尿病薬の主要な治療機序となっている。また、脂肪組織で特異的にCdk5をノックアウトしたマウスでERKがPPARγを直接リン酸化する機序とインスリン抵抗性との関連性が相次いで報告された。さらにはCdk5がERKを制御することでPPARγの機能が調節されることが示された。また、我々はこれまでの研究で癌などに伴う血管新生や実験的脈絡膜血管新生に関与しているPPARγが糖尿病網膜症の進行にも関与していることを明らかにしてきた。以上から糖尿病網膜症の進行においてもPPARγがCdk5/ERK回路の制御を受けている可能性が予想され、本研究の着想に至った。 前年度までの硝子体液におけるELISAによる解析に加えて、黄斑上膜8検体、増殖糖尿病網膜症6検体の増殖膜検体を採取しERKタンパク質の発現量をWestern blotting法により確認した。増殖膜検体におけるERK1/2ならびにリン酸化ERK1/2蛋白の発現は市販のantibody kit(ERK1/2; Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA, USA, リン酸化ERK1/2; Cell Singaling Technology, Danvers, MA, USA)を用いて測定した。Western blotting法により測定したリン酸化ERK1/2発現量をERK1/2発現量で割った値は黄斑上膜の対照患者よりもPDR患者で有意に高かった(p<0.050)。
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