研究課題/領域番号 |
22K09819
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松田 彰 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00312348)
|
研究分担者 |
岩本 怜 順天堂大学, 医学部, 助教 (10568207)
浅田 洋輔 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70596626)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ペリオスチン / マウスモデル / 緑内障濾過手術 |
研究実績の概要 |
POSTN分子の機能解析:POSTN欠損(KO)マウス用いて、緑内障濾過手術モデルを作成し、POSTNの存在が濾過胞形成に与える影響を野生型 マウスとの比較した。手術後3、7、10日目の濾過胞を経時的に採取し、アジレント社製のマウス遺伝子マイクロアレイを用いて、網羅的遺伝子発現プロファイルを改正した。その結果、POSTN分子の存在は、緑内障手術後の結膜MUC5a遺伝子の発現維持に貢献していることが判明した。これはすなわち、創傷治癒時にマウス結膜における杯細胞に対してPOSTN分子が保護的に働くことを示唆する所見と考えられる。 ヒト臨床サンプルを用いた解析:濾過手術が不成功に終わった臨床症例から再手術時に得た摘出組織サンプルを用いて、濾過胞線維化部 位または前房水漏出部位におけるPOSTN発現と病態の関係を明らかにすることを試みた。また、濾過手術施行症例において術中に前房水を採取し、前房水中 のPOSTNが濾過手術後の濾過胞瘢痕化を予想するバイオマーカーとして有用かの評価を試みた。その結果、濾過胞機能不全に陥った症例の中に著明なPOSTN発現発現亢進を認める症例があることが判明した。 POSTNを標的にした治療的介入:濾過胞におけるPOSTNならびに関連分子の発現を制御することで、濾過胞の機能維持につなげる方法を実験的に探求した。POSTN抑制能力を持つ薬剤(サイクロスポリンA:CysA)を濾過手術施行時に MMCと同様結膜下に投与したところ、濾過胞の形成が促進された。現在その精密な分子メカニズムを探求中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスモデルの解析、臨床サンプルの解析、マウスを使用した介入実験など、概ね予定通りの研究が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の成果をもとに来年度はより、分子メカニズムに踏み込んだ検証をしてゆく。また、遺伝子欠損マウスを用いた濾過手術モデルの解析に関しては、その成果を学術雑誌に投稿してゆく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
マウス実験に必要な試薬、消耗品が予想より少なくすんだため、2023年に繰越が生じた。今年度はマウス実験の量が増えるため、昨年度の繰越金もマウス実験の試薬、消耗品購入に充当したい。
|