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2022 年度 実施状況報告書

ナノ粒子点眼による糖尿病網膜症に対する新規低侵襲治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K09822
研究機関日本大学

研究代表者

長岡 泰司  日本大学, 医学部, 准教授 (00333691)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード糖尿病網膜症 / 網膜神経血管連関 / ナノ粒子点眼 / ドラッグデリバリー
研究実績の概要

1) 網膜微小循環障害は糖尿病網膜症の早期病態として重要であるが、これを治療標的として新しい低侵襲糖尿病網膜症治療法の開発を目指す。糖尿病網膜症治療の有効性を定量的に評価することは長年の課題であったが、代表者は網膜血流負荷試験(フリッカー刺激、高酸素負荷)に対する眼血流増加反応が糖尿病網膜症の網膜機能異常を早期から鋭敏に捉える低侵襲診断法として有用であることを見出した。
2) これを用いて、これまでの大規模臨床研究で内服投与により糖尿病網膜症に有効性が認められ、代表者も網膜循環改善効果を確認しているフィブラート製剤を、全身への影響を最小限にした新しい網膜へのドラッグデリバリーシステムであるナノ粒子点眼として眼局所に投与し、2型糖尿病モデルマウスにおける低侵襲眼局所治療の糖尿病網膜症予防の有効性を検証した。
3) さらに前臨床試験として、よりヒトに近い大型動物であり網膜症様血管病変を呈する糖尿病ブタの経時的観察研究を行い、網膜毛細血管網の脱落や網膜血管内皮機能障害が起こることを報告した。
今後、この糖尿病ブタを用いて、ナノ粒子点眼の有用性を網膜血流および血管構築に着目して評価し、臨床試験に繋げたいと考えている。具体的には、高酸素負荷吸入による網膜血流低下反応、フリッカー刺激に対する網膜血流増加反応を網膜神経血管連関の定量的指標として、薬剤での介入により改善させるかを検討するとともに、屠殺後に網膜組織標本を作製し、免疫組織学的な検討を行い、網膜グリア細胞障害の程度や網膜内VEGF産生などを確認する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) フェノフィブラートナノ粒子点眼を2ヶ月間投与し、糖尿病モデルマウスにおいて網膜神経連関を改善させることを確認した。(2022, Pharmaceuticals) さらに網膜組織において、血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor)産生亢進やミュラーグリア細胞の障害を抑制することを組織学的に確認した。(2022, Pharmaceuticals)
2) 糖尿病モデルブタを長期間飼育し、網膜毛細血管網が脱落し、網膜動脈血管内皮機能が障害されることを確認した(2023, Exp Eye Res)。
以上より、前臨床試験として糖尿病モデルブタに対するフェノフィブラートナノ粒子点眼を開始する準備は整ったと考えている。

今後の研究の推進方策

1) フェノフィブラートよりもさらに強力なPPAR-αへの作用を有するペマフィブラートのナノ粒子点眼を開発し、糖尿病マウスにて検討する。
2) 前臨床試験として糖尿病モデルブタに対するフェノフィブラートナノ粒子点眼を開始する。

次年度使用額が生じた理由

糖尿病ブタの購入を計画していたが、交配によって糖尿病になったブタの数が予定より少なかったため。
未使用額については、今年度入荷予定の糖尿病ブタの購入に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] A pilot study of diabetic retinopathy in a porcine model of maturity onset diabetes of the young type 3 (MODY3)2023

    • 著者名/発表者名
      Takase Koyo、Yokota Harumasa、Ohno Akira、Watanabe Masahisa、Kushiyama Akifumi、Kushiyama Sakura、Yamagami Satoru、Nagaoka Taiji
    • 雑誌名

      Experimental Eye Research

      巻: 227 ページ: 109379~109379

    • DOI

      10.1016/j.exer.2022.109379

    • 査読あり

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公開日: 2023-12-25  

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