研究課題/領域番号 |
22K09846
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
高橋 寛二 関西医科大学, 医学部, 教授 (60216710)
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研究分担者 |
山田 晴彦 関西医科大学, 医学部, 研究医員 (50288841)
盛 秀嗣 関西医科大学, 医学部, 講師 (50802948)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 網膜分枝静脈閉塞症 / 高血圧 / OCTA / S1PR1 / eNOS |
研究実績の概要 |
通常ラットと高血圧ラットの網膜静脈を1本レーザーを用いて閉塞させ、OCTAで経時的に観察したところ、通常ラットでは閉塞部付近の側副血行路が発達し静脈閉塞を維持しやすいが、高血圧ラットでは側副血行路が発達しづらくすぐに閉塞させた静脈が再開通してしまうことが分かった。また、静脈閉塞をしてから6時間の時点での、血管拡張を促進する因子である内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現をリアルタイムPCRで定量したところ、高血圧ラットでは通常ラットに比べて有意にeNOS発現が低下していることが分かり、これが高血圧ラットでは側副血行路の発達がしづらい一因ではないかと考えた。 また、血管閉塞時に血管にかかるずり応力がスフィンゴシン1リン酸受容体1(S1PR1)のアゴニストとしてS1PR1を活性化させて、最終的にeNOSを介して一酸化窒素(NO)を発現させ側副血行路を形成するという既報がある。これを参考に、S1PR1アゴニストであるSEWを通常ラット、高血圧ラットの硝子体内に投与し、レーザーによる静脈閉塞を試みたところ、高血圧ラットでは未投与の状態と大きく変わらず静脈を閉塞させることが出来たのに対し、通常ラットでは血管拡張作用が強くなり、どれだけのレーザーを用いても静脈を閉塞させることのできないラットが有意に多かった。またSEW硝子体内投与後6時間でのeNOSの発現をリアルタイムPCRで定量したところ、高血圧ラットでは通常ラットに比べて有意にeNOS発現が低下していることが分かった。これらのことから、高血圧環境ではS1PR1に対する感受性が低下している可能性があり、このことが高血圧ラットで側副血行路形成が困難である原因ではないかと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生型ラットでは側副血行路が形成された後も維持しやすく、閉塞静脈が閉塞し続けるのに対し、高血圧モデルラットでは側副血行路の形成、維持が困難で閉塞静脈がすぐに開通してしまうことが分かった。高血圧環境において側副血行路ができづらい一因として、S1PR1の関与を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
網膜静脈を閉塞させた後の網膜伸展標本に対する免疫染色を行い、通常ラット、高血圧モデルラットにおけるS1PR1やeNOS、NOの局在を明らかにする。学会発表をおこないつつ、論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色の実験系が遅れたため、一部今年度中に購入予定だった抗体が購入できなかったこともあり次年度使用額が生じた。免疫染色に必要な抗体や動物を今後購入予定である。
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