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2022 年度 実施状況報告書

難治性創傷患者の治療を目的としたヒト人工羊膜の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K09855
研究機関富山大学

研究代表者

荒井 健一  富山大学, 医学部, 客員助教 (40752960)

研究分担者 吉田 淑子  富山大学, 医学部, 客員教授 (00171421)
相古 千加  富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10523889)
岡部 素典  富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60283066)
岩永 進太郎  富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (70587972)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード羊膜 / 創傷治癒 / 難治性創傷 / 脱細胞化
研究実績の概要

糖尿病性足潰瘍(慢性創傷)は、下肢の血流が慢性的に低下した状況で外部から刺激(外傷や熱傷)が加わることで生じる。慢性創傷は治癒遅延により感染症に陥りやすく、患者の約1%が下肢切断に至る(Stoekenbroek et al, Diabetologia, 2017)。従って、慢性創傷では重症化する前に感染防御機構、創傷部位の再生法を確立することが治療の重要課題である。
本研究では、生きた羊膜由来上皮細胞と間葉系細胞を用いて人工羊膜を創出する。創出した人工羊膜が創傷部で持続的な抗菌・抗炎症作用や肉芽組織形成を促進し、真皮層を形成する為の足場として有用であることを組織学的・分子生物学的に検討することを目指す。
2022年度は、人工羊膜を構築する為の足場材料としてビトリゲルに着目し、作製した人工羊膜をⅢ度熱傷糖尿病マウスへ被覆することで創傷治癒を促進するか検討した。膠原線維が凝縮されたビトリゲルの裏表に羊膜由来上皮、間葉系細胞を分けて接着した。この人工羊膜は、血管新生や肉芽組織形成を促進する液性因子、抗炎症作用を促進する因子を産生することが明らかになった。そこで、Ⅲ度熱傷糖尿病マウスへ被覆した結果、血管新生、肉芽組織形成の促進、早期に炎症を抑制し、抗炎症作用を促進することが明らかになった。以上のことより、羊膜由来細胞はⅢ度熱傷糖尿病マウスの創傷治癒を促進することが明らかになった。
次に、人工羊膜の細胞外基質を真皮層の代替として機能させる為に、羊膜を脱細胞化した細胞外基質を用いることを検討した。初期検討として、羊膜の脱細胞化、細胞の接着試験を実施中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者は、羊膜由来細胞の創傷治癒効果を検討する為に、(1)羊膜由来間葉系細胞を急性創傷モデル(Ⅲ度熱傷マウス)の創傷部位に播種、(2)ビトリゲルを足場材料として羊膜由来上皮、間葉系細胞を播種して、人工羊膜を構築し、Ⅲ度熱傷糖尿病マウスに創傷治癒効果を検討した。その結果、羊膜由来間葉系細胞が創傷治癒効果を有するということを明らかにし「Journal of Burn Care & Research」に2022年に報告した。羊膜由来細胞を用いて構築した人工羊膜は、創傷治癒効果を確認できたため、論文投稿準備中である。来年度に予定している脱細胞化羊膜の初期検討も進んでいる為、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2023年度は脱細胞化した羊膜の細胞外基質を用いて、人工羊膜を構築し、Ⅲ度熱傷糖尿病マウスの創傷部位に被覆することで、マウス由来の細胞が脱細胞化した羊膜の中に遊走してきて、真皮層として機能するかどうか検討する。人工羊膜を被覆することで、創傷治癒過程では創傷部位の上皮化、肉芽組織形成能、血管新生、抗炎症作用が促進するか組織学的、分子生物学的に評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

人工羊膜を作製する為にビトリゲルを購入していたが、大量購入することで、1枚当たりの単価が安くなった為、次年度に持ち越した。次年度には、この繰り越した研究費で、RNAシーケンスを実施することで、創傷治癒過程を明らかにしたいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] The Exciting Realities and Possibilities of iPS-Derived Cardiomyocytes2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Fuga、Patel Praneel、Kitsuka Takahiro、Arai Kenichi
    • 雑誌名

      Bioengineering

      巻: 10 ページ: 237~237

    • DOI

      10.3390/bioengineering10020237

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Importance of Housekeeping Gene Optimization for the Analysis of mRNA Expression During Wound Healing in a Third-Degree Burn Injury Model2022

    • 著者名/発表者名
      Arai Kenichi、Okabe Motonori、Kobashi Daisuke、Ichimura Kenji、Fathy Moustafa、Oba Jiro、Furuichi Etsuko、Yoshida Satoshi、Yoshida Toshiko
    • 雑誌名

      Journal of Burn Care & Research

      巻: 44 ページ: 146~157

    • DOI

      10.1093/jbcr/irac161

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Design and Fabrication of Mature Engineered Pre-Cardiac Tissue Utilizing 3D Bioprinting Technology and Enzymatically Crosslinking Hydrogel2022

    • 著者名/発表者名
      Iwanaga Shintaroh、Hamada Yuta、Tsukamoto Yoshinari、Arai Kenichi、Kurooka Taketoshi、Sakai Shinji、Nakamura Makoto
    • 雑誌名

      Materials

      巻: 15 ページ: 7928~7928

    • DOI

      10.3390/ma15227928

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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