研究課題/領域番号 |
22K09860
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩尾 敦彦 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90816638)
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研究分担者 |
西條 広人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 被ばく医療部, 医長 (40882460)
樫山 和也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60723591)
田中 克己 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70244069)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外傷性神経種 / 羊膜 / チューブキャッピング |
研究実績の概要 |
外傷性神経腫は、末梢神経切断端から無秩序に伸長した軸索を、炎症反応を契機とした瘢痕組織が取り囲むことにより形成される非腫瘍性の病変であり、耐えがたい疼痛の原因となる。近年、その治療法として神経腫切除後の神経断端に人工神経を縫合するナーブキャッピングが注目されているが、神経腫が再発することがある。本研究の目的は、抗炎症作用を持つ羊膜に由来したキャッピング材料の外傷性神経腫に対する疼痛抑制効果や神経種抑制効果を検証し、ナーブキ ャッピングに特化した新しい医療材料の開発につなげることである。 2022年度は羊膜由来キャッピング材料の作成に注力した。羊膜は堅牢である一方、薄いため形態を保持することが極めて困難である。そのため、羊膜でなく、Amniotic membrane(羊膜+絨毛膜)として使用する方針とした。しかしながらAmniotic Membraneであっても単層ではチューブ状のキャッピング材料を作成すると、その内腔を保持することが難しかった。そこで、Amniotic Membraneを2層とすることで、形態を維持するという課題をクリアした。作成工程自体は、研究計画調書の予定通り、シリコンチューブにAmniotic membraneを巻き付け、ボルヒールで固定し、シリコンチューブを抜去することで、作成は可能であった。シリコンチューブ抜去の際に、チューブとキャッピング材料の間に癒合が生じる可能性があったが、チューブは容易に抜去可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度中にキャッピング材料を、ラット坐骨神経外傷性神経腫モデルに移植する予備実験までを行う予定であったが、予想よりもキャッピング材料の作成に時間が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
Amniotic membrane由来キャッピング材料(以下、Amniotic cap)は、羊膜を内腔としたものと、絨毛膜を内腔としたものを作成した。末梢神経伸長の足場としては前者が有効と考えられるが、間葉組織由来の抗繊維化作用を期待する場合には後者が有効と考えられる。予備実験において、各々のAmniotic capの効果を確認する予定である。その後、2023年度内に本実験を終了させる予定である。ラット坐骨神経断端神経腫モデルは、Sciatin Notchから10mmの位置で坐骨神経を切断し、その箇所から12mm分は神経を敵襲する。神経断端から近位側に8mmのポイントを糸でマーキングする。12週後にマーキング部位から遠位側に形成された組織を全て摘出する。評価は、autotomy score(行動生理学的評価)と摘出した組織の病理組織学的評価(Masson's Trichrom染色・αSMA)、ELISA法による血清IL-17測定等を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に市販の人工神経とのAmniotic capとの比較を予備実験で行う予定であったが、実施できなかった。実施予定であった予備実験、並びに本実験を次年度に実施するため、必要な人工神経を購入する予定である。
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