研究課題/領域番号 |
22K09871
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
桑原 大彰 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30614820)
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研究分担者 |
久保村 憲 日本医科大学, 医学部, 助教 (40832358)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腋臭症 / ABCC11遺伝子 / SNP / 臭気 / 細菌 / pH |
研究実績の概要 |
(具体的内容)日本医科大学中央倫理委員会の承認得て本研究は遂行中である。研究代表者および共同研究者の所属機関において対象者(腋臭症の家族歴と湿性耳垢を持つ15歳以上で当施設で腋臭症治療を希望する患者)に対しABCC11遺伝子産物の180番アミノ酸がアルギニンではなくグリシンに変わる湿性耳垢(腋臭症)原因SNP検索を行うため一般採血を行いTaqManPCR解析を行っている。本日現在33名の解析を終えている。想定通りグリシンヘテロまたはホモとなる結果が殆どであった一方でSNIPを有さない対象者もいることがわかってきた。 (得られた知見と意義)我々の先行文献(Objective odor assessment in patients with osmidrosis.Kubomura K, Ogawa R, Sasaki N, Ichinose S, Akaishi S, Kuwahara H .Plast Reconstr Surg Glob Open. 2022. 10.e4622)で報告したとおり腋臭症は複合臭からなるが、アポクリン腺以外にも様々な原因で体臭は発せられているために、治療介入をすることで効果が得られる'真の’腋臭症であるか否かを鑑別することが可能になると確信を得られた。ABCC11遺伝子SNP解析を行うことは、本研究の目的である本邦における疫学の調査および、腋臭症患者に対する適切な治療方法の選択を可能にすると考えられた。 (今後)腋窩環境による臭気物質や原因細菌の差異を調べるため腋窩皮膚pHの測定や、16Sr RNA遺伝子解析を用いて原因細菌の種別細胞カウントなども行っていく予定である。すでに腋臭症患者の皮膚pHは非腋臭症患者に比べて中性に傾いていることが判明してきている。今後も研究を継続し、本邦における腋臭症患者の疫学や適切な治療ストラテジーの作成に努めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(ABCC11遺伝子の測定)研究期間中に100名の解析を予定しており、本研究実績記載現在で33名の解析を終了している。非腋臭症者のボランティアを含めて完遂していく。 (腋窩細菌叢と原因臭気の同定)擦過培養、組織培養施行済み。細菌叢の同定までには至らず今後フローサイトメトリー法による各細菌種数の計測を行っていく。ガスクロマトグラフィーを用いた共同研究では個々の患者に対する原因臭気の同定や模擬臭の作成を継続中であり、各臭気物質と相関する新たな腋臭症の臭気分類が作成される可能性がある。 (腋窩pHの測定)すでに十分な結果が得られており著作物作成のおり詳細を報告する
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今後の研究の推進方策 |
概ね良好に経過しており推進方策については現状維持とする。 ただし本研究および研究に関する報告は2023年度より逐次行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ABCC遺伝子解析に必要な試薬、細菌数解析に必要な16S rRNA遺伝子解析のタイミングなどが当該年度に合致させることができず次年度使用額が生じたため
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