研究課題/領域番号 |
22K09879
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 晋 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00450239)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | イメージング / コラーゲン線維 / 弾性線維 / 真皮 / ヒト |
研究実績の概要 |
結合組織の弾性や粘弾性は生体の維持に不可欠であり、その機構解明は材料工学、再生医学、疾患学において極めて重要な課題である。例えば、生体が動くには皮膚や関節の伸縮性や可動性が必要である。結合組織の主たる構成要素は膠原線維や弾性線維、そしてゲル状の基質である。膠原線維は三重鎖のコラーゲン分子が規則的に配列したコラーゲン細線維の集合体であり、束ねた紐のような構造を持つ。弾性線維はミクロフィブリルにエラスチンが沈着して形成される、ゴムのような細い線維である。これらの特性は結合組織の構造と密接に関係しており、その機構を明らかにすることは、疾病学、創傷治癒学、再生医学において極めて重要である。 2023年度は2022年度に引き続き、真皮サンプルを用いて機械的特性とその構造変化との関係を調べる実験を行った。サンプルは大腿および腹部皮弁手術で廃棄される予定の皮膚を用いた。一軸引張試験については、最大応力10Nまで一定速度で伸展負荷を与え、Toe領域および線形領域を定義した。多光子顕微鏡に引張試験器を設置し、未固定新鮮真皮サンプルを段階的に1軸または2軸伸展負荷を加え、組織を動的に観察した。第二高調波発生によって膠原線維を描出し、自家蛍光により弾性線維を第二高調波発生と異なる波長のフィルターによって検出した。一軸伸展によりコラーゲン線維および弾性線維が配向する過程の描出に成功した。また、応力緩和における線維の構造変化についての解析も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精度向上と安定した結果を得るため、新しく二軸伸展器の製作に着手した。その期間は実験が中断したが、それ以外はおおむね順調に実験が遂行されている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は引き続き1軸伸展および2軸伸展下での組織の構造変化についての解析や応力緩和、ヒステレーシスとその構造変化に対する実験を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨今の国際情勢による物流の停滞により納期が遅延し2023年度に使用する予定であった助成金に余りが生じた。研究に必要な経費(試薬、実験動物の購入等)に充てる計画である。
|