研究課題/領域番号 |
22K09881
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒田 一也 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00882292)
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研究分担者 |
久保 盾貴 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00362707)
松崎 伸介 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (60403193)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | LIMK2 / アポトーシス / RhoA |
研究実績の概要 |
①活性型および不活性型LIM kinase2を発現するアデノ随伴ウイルスベクターの作成 遺伝子導入のための2型アデノ随伴ウイルスベクターを作成するために、pAAV-CMV-LIMK2-GFPベクターを購入した。pAAV-CMV-LIMK2-GFPベクターのLIMK2の505番目の塩基Threonine (ACG)を PCR法を用いてGlutamic AcidおよびValine に変異させ、LIM kinase2の活性型および不活性型(それぞれGFP tag付き)を発現するベクターを構築した。TAKARA AAV purification kit を用いてLIMK2のconstitutive activeおよびdominant negativeを発現する2型アデノ随伴ウイルスベクターを作成した。コントロールとして、GFPのみを発現するAAV2ベクターを作成した。 ②LIM kinase2の活性型を導入した際の伸展刺激に対する反応 正常線維芽細胞に活性型LIMK2およびコントロールとしてGFPの遺伝子導入を行い、伸展刺激を加えた。ウエスタンブロッティングでリン酸化cofilinおよびαSMAの発現を確認した。正常線維芽細胞およびAAV2-GFP導入線維芽細胞では、伸展刺激を加えていない群と比較して、加えた群でリン酸化cofilinおよびαSMAの発現は上昇を認めた。一方はAAV2-LIMK2-mutant-GFP導入線維芽細胞では伸展刺激を加えても、加えていない群と比較して リン酸化cofilinおよびαSMAの発現は同程度であった。このことから、LIMK2が通常でリン酸化が亢進している場合、伸展刺激に対しそれ以上のリン酸化促進が認められず、筋線維芽細胞への分化促進が起こりにくいと考えられ、線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化をコントロールできる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種変異型LIMK2を発現するAAV2を作成に想定よりも時間を要したこと。 また、今後の実験計画に細胞アポトーシスに関する項目があり、アポトーシス解析にウエスタンブロットを行う予定であった。しかし、アポトーシス関連タンパク質のウエスタンブロットにおいて、バンドの検出に一貫性がなく、その手技を確立するのに多くの時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、不活性型LIMK2についても同様に伸展刺激実験を行い、筋線維芽細胞への分化誘導を程度を確認する。 またアポトーシス関連タンパクのウエスタンブロットについても手技を確立することができたため、引き続き解析をおこなっていく予定である、具体的には、皮膚線維芽細胞は進展刺激によってアポトーシスが亢進するのか、阻害されてるのかをまず正常細胞を用いて確認する。その上で、活性型もしくは不活性型LIMK2を遺伝子導入することで、伸展刺激を行うことでアポトーシスを促進することができればケロイド、肥厚性瘢痕の治療戦略に結びつくと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前記の実験の遅れから次年度使用額が生じましたが、遅れの原因は解消できていると思われるので翌年度以降については予定通り抗体やウエスタンブロット、その他消耗品の購入予算に充てる予定です。
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