研究課題/領域番号 |
22K09895
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
石川 孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80275049)
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研究分担者 |
岡崎 美季 東京医科大学, 医学部, 助教 (20817390)
松本 望 東京医科大学, 医学部, 臨床助教 (30932868)
松村 一 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80256263)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 被膜拘縮 / タモキシフェン / シリコンインプラント / 乳房人工物再建 |
研究実績の概要 |
現在、乳房人工物再建の合併症として、特に頻度が高く重篤なのが被膜拘縮である。被膜拘縮予防として、過去の臨床研究では、ホルモン陽性乳癌の治療薬であるタモキシフェンの内服により、被膜拘縮を予防する効果を持つ可能性が示唆された。そこで我々はインプラントにタモキシフェンを局所投与することによって、被膜拘縮を妨げるのではないかと考え、実験を開始した。これまでの我々の研究でタモキシフェンの経皮投与により被膜拘縮が予防されることが分かっており、今回はより臨床応用しやすい形として、タモキシフェンを散布させたエラスチンスポンジをインプラントと挿入することで、被膜拘縮への効果の検証を行っている。 方法は、8週令の雌ICRマウス計51匹を使用した。試験群をcontrol群、TAM(0.1mg)群、TAM(1.0mg)群の各群17匹に設定し、1週間馴化後、背部皮下に長径1.0㎝の円状のインプラントシート、その上に4-OH TAMを含ませたシルクエラスチンを留置した。留置4週間後の13週令目に被膜・周辺組織を採取、パラフィン切片を作成した。被膜の厚さはHE染色標本を用いて各標本5箇所ずつ測定した。 結果は、被膜採取時の13週令マウス個体数はcontrol群13匹、TAM(0.1mg)群13匹、TAM(1.0mg)群14匹であった。各群の体重平均は、TAM(0.1mg)投与群ではコントロール群との比較で有意な体重を認めた。HE染色標本による被膜の厚さの中央値は、control群と比較しTAM(1.0mg)群で有意に被膜の厚さの減少を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前回の実験から個体数を十分に増やし、さらに創部の閉創に動物用ホッチキスを使用するなどの工夫を施したことで、被膜採取および評価可能な個体を十分に得られることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
被膜形成における、線維化の評価として、ピクロシリウスレッド染色を用いた定性評価や炎症の指標としてCD45免疫染色による被膜内浸潤リンパ球の定量化を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度では、実験を遂行中であり、学会発表や論文発表が出来る段階ではないため、旅費などの費用が不要となり予定より使用額が少なくなった。次年度では当該年度に引き続き実験物品や抗体などに経費を使用予定である。
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