研究課題
前年度に行った妊娠母体への各種食餌(高カロリー、各種ビタミンの過不足)の負荷による産仔の肝・脂肪組織の組織学的解析、エピゲノム解析、糖・脂質代謝パラメータ解析について、母体のエネルギー代謝各種パラメータとの解析比較を行った。特に、網羅的DNAメチル化解析と肥満の経過の結果をふまえて、過栄養の妊娠母体の産仔で共通している肥満感受性エピゲノム変化、それに伴う遺伝子発現変化を同定した。体組成については、実験動物用の体組成計にて、 生存状態で体内水分量、脂肪量、除脂肪量、細胞内液量・細胞外液量をインピーダンスデー タにより測定・解析した。産仔のエネルギー代謝関連臓器における網羅的DNAメチル化解析は、母親の栄養の影響のみを受けている最終地点として離乳時(24日齢)に行い、肥満が十分に顕在化してくる3ヶ月齢において、そのメチル化変化(主に高メチル化状態)とそれに 伴う遺伝子発現変化が残存している遺伝子を抽出した。それらの各種遺伝子について、主に培養細胞(肝:Hepa1c1c7細胞;脂肪:3T3-L1細胞)を用いて、同定した肥満感受性遺伝子を過剰発現あるいは発現抑制することで、糖・脂質代謝の挙動を追跡し、当該遺伝子のゲノム制御のみで肥満素因・肥満症進行、エネルギー代謝異常の表現型との紐付けができるのか解析を開始した。その結果、肥満感受性やエネルギー代謝異常への感受性が、特定の複数の遺伝子の経世代エピゲノム変化、およびそれに伴う遺伝子発現変動に依存している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、順調に実験を進められている。
今年度に抽出・同定した各種肥満感受性(候補)遺伝子について、培養細胞を用いた実験を進めることで、当該遺伝子のゲノム制御のみで肥満素因・肥満症進行、エネルギー代謝異常の表現型との紐付けができるのか詳細な解析を行う。また、同定した肥満感受性遺伝子が出生後に脱メチル化されることで体脂肪の増加が軽減されるかどうか検討する。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Current Oral Health Reports
巻: 10 ページ: 69~74
10.1007/s40496-023-00338-z