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2022 年度 実施状況報告書

軟骨吸収細胞septoclastの軟骨基質との接着機構と分化誘導メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09917
研究機関明海大学

研究代表者

坂東 康彦  明海大学, 歯学部, 講師 (80735548)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードseptoclast / pericyte / 血管内皮細胞 / 骨端板 / extracellular matrix / インテグリン / マウス
研究実績の概要

本年度は①septoclastと軟骨基質中のextracellular matrix (ECM)の関係の形態学的解析と②septoclastとペリサイト培養細胞系の確立のための条件検討と準備を行った。
①に関して:マウス脛骨近位端の骨端板骨軟骨境界部と骨幹端部において免疫組織化学的染色と電顕観察を行い、septoclast、pericyte、血管内皮細胞と、骨端板軟骨基質中のII/X型コラーゲンとの関係を解析した。その結果、septoclastがII/X型コラーゲンの接着タンパクであるインテグリンα2を発現し軟骨基質中のII/X型コラーゲンと接触すること、septoclastから棘状の突出(protrusions/spines)が伸び骨の長軸方向の軟骨基質である縦隔と接触していることが分かった。また、骨幹端部において、pericyteがインテグリンα1を、血管内皮細胞がインテグリンα2/6を発現することを見出し、それぞれIV型コラーゲンとラミニンα4との接着を介して基底膜に結合することが示唆された。骨軟骨境界部と骨幹端部の矢状断と水平断の組織に対し免疫組織化学的にseptoclast、pericyteと血管内皮細胞との間の基底膜を観察したところ、pericyteは基底膜に完全には覆われていないことが分かった。また、骨幹端部では連続する基底膜が骨軟骨境界部ではまばらであった。②に関して:septoclastはpericyteに由来し、PDGFRβを共通に発現する (Bando et al. Histochem Cell Biol (2018) 149:645-654)が、①に記載の通りインテグリンα2はseptoclastにのみ発現しpericyteには発現しないことが分かったため、これらの2種のタンパクの発現の違いを利用してマウス骨端板組織からセルソーティングによりseptoclastとpericyteを単離し、DNA発現レベルでの解析を行うための条件検討、具体的には骨端板組織の細胞分離の手順、フローサイト試薬の選択と濃度、ソーティング後の培養法と解析手段の検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度である2022年度はseptoclastと軟骨基質中のextracellular matrix (ECM)の関係の形態学的解析を予定していたが、上記研究実績の概要に記載の通り解析が進み、その成果を3回の学会で発表した。この成果は“Integrin expression and extracellular matrix adhesion of septoclasts, pericytes, and endothelial cells at the chondro-osseous junction and the metaphysis of the proximal tibia in young mice.” (Bando et al. J Anat. 2023 May;242(5):831-845. doi: 10.1111/joa.13820.)にて公表予定である。以上の通り、2022年度は当初の計画に沿った成果が得られたため、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2023年度にはseptoclastとペリサイト培養細胞系の確立と、septoclastにおけるインテグリンα2β1を介するコラーゲンシグナル伝達系の解析を遂行する予定である。
具体的には、インテグリンα2のseptoclastとペリサイトを識別する指標としての適性評価と、セルソーティングと細胞培養の条件検討を予備実験により十分に行う。条件が整い次第、マウス成獣脛骨骨端板と胎生期脛骨軟骨原基から採取した組織からPDGFRβ・インテグリンα2共陽性のseptoclastとPDGFRβ陽性・インテグリンα2陰性のペリサイトのセルソーターによる単離と単離後の培養を試みる。
単離培養したseptoclastとペリサイトに関しては各種ECMの濃度等の条件下で培養を行い、数、形態、タンパク発現等の組織化学的な解析、RT-PCR法による関連遺伝子の発現解析等を行い、septoclastにおけるECMによるインテグリンα2β1活性化とその効果を評価する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用が生じた理由と使用計画
次年度使用が生じた理由:研究がおおむね順調に進んだため、消耗品の消費量が当初予定していたより若干少なくて済んだため。
使用計画:来年度(2023年度)実施を予定している実験のための試薬類(免疫組織化学の抗体類、RT-PCRのプライマーやプローブ、フローサイトメトリーの試薬)、消耗品その他の購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP/FABP5)を発現するseptoclastの骨端板軟骨吸収における役割2023

    • 著者名/発表者名
      坂東 康彦, 小野澤 豪, 長坂 新, 﨑山 浩司, 徳田 信子, 大和田 祐二, 天野 修
    • 学会等名
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス骨端板のseptoclastにおけるインテグリンα2の局在と細胞外基質との関連2022

    • 著者名/発表者名
      坂東 康彦, 小野澤 豪, 長坂 新, 﨑山 浩司, 大和田 祐二, 天野 修
    • 学会等名
      日本解剖学会第110回関東支部学術集会
  • [学会発表] 表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP/FABP5)を発現する非石灰化軟骨吸 収細胞septoclast2022

    • 著者名/発表者名
      坂東 康彦, 小野澤 豪, 長坂 新, 﨑山 浩司, 天野 修
    • 学会等名
      第64回歯科基礎医学会学術大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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