研究課題/領域番号 |
22K09923
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
平山 悟 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70778555)
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研究分担者 |
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00594350)
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺炎球菌性肺炎 / Streptococcus pneumoniae / プラスミノーゲン / プラスミン / 自己溶菌 |
研究実績の概要 |
予備実験において,肺炎球菌性肺炎モデルマウスから採取した気管支肺胞洗浄液のプロテオーム解析を行い,肺炎球菌タンパク質を複数同定した.これらはマウス感染時に発現していることから,感染に関与する可能性が高いと推察した.本研究では,同定した肺炎球菌タンパク質群について網羅的に機能解析を行うとともに,ワクチンへの応用性について解析する. これまでに解析したタンパク質TpiA, ClpC, UvrCと同様に,Fe-S クラスター生合成系のタンパク質SufCもプラスミノーゲンに親和性を有することを見出した.SufCはヒトプラスミノーゲンに結合するだけでなく,組織型プラスミノーゲン活性化因子によるプラスミノーゲンからプラスミンへの変換を促進した.SufCはLytAによる肺炎球菌の自己溶菌により培養上清に放出され,菌体表層に結合することが示唆された.これらの結果から,肺炎球菌は菌体表層のSufCを介してプラスミノーゲンを菌体表層に捕捉し,プラスミンのタンパク質分解活性を感染に利用している可能性が考えられた. また,TpiAとプラスミノーゲンの結合はリジンアナログの添加量依存的に阻害されることから,リジンが両者の結合に関与していることが推察された.そこでTpiAを構成するリジンをそれぞれアラニンに置換したリコンビナントを作製し,プラスミノーゲンとの結合性を解析したところ,C末端に位置するリジン残基がプラスミノーゲンとの結合に必要であることを明らかにした. 以上の成果についてそれぞれ論文にまとめ,Microorganism誌に上梓した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染に関与する可能性が高いと推察されるタンパク質群の機能解析によって,これまでにTpiA, ClpC, UvrC, SufCがいずれもヒトプラスミノーゲンに高い親和性を有することを見出した.同定されたタンパク質群にプラスミノーゲン結合性タンパク質が複数存在することは,プラスミノーゲンへの結合が肺炎球菌の感染に重要であることを示唆する.TpiAがプラスミノーゲンに結合するために必要となるリジン残基を決定することもでき,感染メカニズムの一端を明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
同定した肺炎球菌タンパク質群の中で未解析のものについて,感染関連の機能を詳細解析する.また,培養細胞やマウスを用いた解析を通して,対象のタンパク質の細胞毒性や免疫誘導活性を解析する予定である.
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