研究課題/領域番号 |
22K09924
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
広瀬 雄二郎 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (90788407)
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研究分担者 |
山口 雅也 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (00714536)
川端 重忠 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (50273694)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 化膿レンサ球菌 / RNA-seq解析データ / 独立主成分分析 / モジュロン / 病原性発揮機構 |
研究実績の概要 |
化膿レンサ球菌は咽頭炎など比較的軽度の疾患から致死性の高い劇症型感染症まで、ヒトに多様な感染症を惹き起こす。化膿レンサ球菌は宿主環境に適応するために、転写調節ネットワークを駆使して生理的状態を変化させる。しかし、化膿レンサ球菌における転写制御因子は40個以上も推定されており、根底にある転写調節ネットワークを多面的に捉えることは困難であった。 そこで本研究では、化膿レンサ球菌におけるRNA-seq解析データを公共のデータベースより収集し、独立主成分分析を実行した。これにより、化膿レンサ球菌のモジュロン(複数の転写制御因子や環境要因による遺伝子発現制御の結果、ともに挙動する遺伝子群)を世界で初めて同定し、データベース上に公開した(imodulondb.org)。さらに、得られた42個のモジュロン情報を、過去の文献で報告されているレギュロンおよびレギュロンのデータベース情報と照合し、モジュロンの制御に寄与する転写制御因子を統計学的に算出した。得られた結果を、過去のRNA-seq解析のデータ解釈に応用すると、グルコースの多糖体であるマルトースおよびマルトデキストリンの利用は、溶血毒素の発現に影響することが示唆された。そこで、溶血毒素であるストレプトリジンS(SLS)またはストレプトリジンO(SLO)の欠失株を用い溶血活性を測定した。その結果、菌がグルコースを利用する場合の溶血活性はSLO依存的であるのに対し、マルトース利用ではSLS依存的、マルトデキストリン利用ではSLOおよびSLS依存的に溶血活性を発揮することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化膿レンサ球菌におけるRNA-seq解析データを公共のデータベースより収集し、独立主成分分析を実行した。これにより、化膿レンサ球菌のモジュロン(複数の転写制御因子や環境要因による遺伝子発現制御の結果、ともに挙動する遺伝子群)を世界で初めて同定し、データベース上に公開した(imodulondb.org)。得られた成果を論文化しプレプリントサーバーbioRxivに掲載した (2022. doi: https://doi.org/10.1101/2022.08.04.502797)。
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今後の研究の推進方策 |
化膿レンサ球菌において同定したモジュロン情報が、growthによる遺伝子変動をとらえただけではないことを証明する。その上で、in vivoのnoisyな遺伝子発現プロファイルにおけるモジュロン活性の変動において、growthによるアーチファクトが反映されている可能性を除外する。
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