研究課題/領域番号 |
22K09938
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
宮部 悟 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40534582)
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研究分担者 |
長尾 徹 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90261007)
草深 公秀 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院(救急診療部、循環器病診療部、がん診療部、臨床診療部, 病理学部, 医長 (20368228)
石橋 謙一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80714609)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 唾液腺癌 / 分子病理学 / 遺伝子異常 / 融合遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究課題の先行研究課題である基盤研究C(19K10081)「多形腺癌(PAC)における新規遺伝子異常の臨床病理学的解析と分子標的治療法の確立」は最終的に以下の英論文としてまとめるに至った(Salivary gland polymorphous adenocarcinoma: Clinicopathological features and gene alterations in 36 Japanese patients.J Oral Pathol Med. 2022 Sep;51(8):710-720. doi: 10.1111/jop.13336)。全国12施設より収集した36例の多型腺癌 (polymorphous adenocarcinoma: PAC)を対象とし、臨床病理学的特徴と特有な遺伝子異常(PRKD1 E710DとPRKD1/2/3,ARID1A,DDX3X遺伝子再構成)について検討した.【結果】全PAC36例の全生存期間(10年)は92.9%で、局所再発と頸部リンパ節転移率は共に23.3%だった. PAC関連遺伝子異常を20例(55.6%)で認めた.その内訳としては、PRKD1 E710Dは4例、PRKD1/2/3,ARID1A,およびDDX3X遺伝子再構成は17例で認めた.単変量解析でARID1A分離 はDFSの有意な低下を認め(P = 0.018),多変量解析で独立危険因子であった(P = 0.004).PAC類似唾液腺腫瘍にこれらの遺伝子異常は認めなかった.【結論・考察】本邦におけるPACの臨床病理学的特徴とPAC関連遺伝子再構成率は欧米におけるものと同等であり,本研究によりPAC関連遺伝子異常の臨床病理組織学的診断と予後における重要性が示唆された. 本先行研究の要旨は第66回日本唾液腺学会学会総会・学術大会(2022年12月)で一部を報告し、さらに第67回日本口腔外科学会総会・学術大会(2022年11月)では詳細を報告したことによりポスター発表賞を獲得した。 本研究課題(22K09938)では解析する唾液腺導管癌と多形腺腫由来癌(唾液腺導管癌)の収集を進めており、それぞれ48例、40例を収集するに至っている。それぞれのPLAG1/HMGA2遺伝子再構成を確認するべく、順位FISH解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の影響の残る症例収集先の施設でのIRBが遅延していることから、若干の収集遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
予定している唾液腺導管癌および多形腺腫由来癌(唾液腺導管癌)それぞれ60例の症例収集を目標に、各病院のIRBを出来るだけ急いで行うべく共同研究者に働きかける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた状況としては、いまだIRB承認を得ていない多くの症例の解析を必要としている検体用の試薬費用が発生しているためである。今後症例が収集され次第、FISH解析を十分進める予定である。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、大きな変更はなく、予定通り、FISH probeのPLAG1とHMGA2の追加購入費に充てる予定である。
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