シェーグレン症候群 (Sjogren's syndrome: SS)は、慢性唾液腺炎、涙腺炎を主徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。標的臓器の導管、腺房周囲には自己反応性CD4+ T細胞の著しいリンパ球浸潤が認められ、腺房の破壊や萎縮により乾燥症状が引き起こされる。根本的な治療法はなく、乾燥症状への対処療法に頼るのみである。 病態形成初期における浸潤CD4+ T細胞の活性化がその後の免疫応答を惹起することから、その活性化機序および臓器特異的集積機構を解明し制御することは、疾患特異的治療法を開発する上で非常に有用である。 これまでに、自己免疫疾患との関連が多く報告されているTh17のマスター転写因子であるRORgtをT細胞に過剰発現させたRORgtトランスジェニックマウス (Tg) が、SS様の病態を自然発症することを報告した。Tgマウスの解析より、新たに病態の発症に自己抗体の存在が関与することを明らかにした。
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