| 研究課題/領域番号 |
22K09989
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| 研究機関 | 日本大学 |
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研究代表者 |
黒川 弘康 日本大学, 歯学部, 准教授 (10291709)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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| キーワード | 根面齲蝕 / ペン型超音波トランスデューサー / 治療指針立案 |
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| 研究実績の概要 |
根面齲蝕モデルにサホライド液歯科用38%（SDF）を応用した際の試片のヌープ硬さを測定し，これをデジタル画像解析処理による試片の黒変度と比較することで，これらの相関性について検討した。
ウシ歯歯根部象牙質ブロックを，乳酸緩衝液（pH 4.75）に10分間浸漬した後に人工唾液に保管した。この操作を12時間毎に1日2回，それぞれ1，7，14および28日間行う4条件（AC1，AC7，AC14，AC28）を設定し，脱灰程度の異なる根面齲蝕モデルを製作した。
SDF塗布前および塗布後精製水中に1，7および14日間保管した各根面齲蝕モデルについて，それぞれヌープ硬さ測定を行なった。なお，ヌープ硬さの測定は，微小硬さ測定装置を用いて，荷重0.20 N，荷重保持時間30秒の条件で行い，試片の中央部付近3点での測定値の平均を各測定時期におけるヌープ硬さとした。ヌープ硬さの測定に用いた根面齲蝕モデルの各測定時期でのグレースケール画像を，専用ソフト（Image J, Wayne Rasband）を用いて解析し，各画像の階調数を求めることで黒変度の指標とした。
その結果，脱灰程度の異なる根面齲蝕モデルのヌープ硬さは，いずれの測定時期においても，AC28で他の条件と比較して小さな値を示した。一方，SDF塗布後の各試片のグレースケール画像の階調数は，AC28で他の条件と比較して小さな値を示した。以上の結果より，根面齲蝕モデルにSDFを応用した際の試片の黒変度とヌープ硬さには相関性があることが示された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脱灰程度の異なる根面齲蝕モデルにSDFを塗布した際の状態変化を，令和4年度は，ペン型超音波トランスデューサーおよびデジタル画像を用いて，令和5年度は，微小硬さ測定装置を用いて検討することで，超音波音速値，黒色度およびヌープ硬さに相関があることを明らかにしている。これらの結果は，本研究の主目的である，ペン型超音波トランスデューサーによる根面齲蝕の治療指針を立案に十分に寄与するものであり，研究は計画通り順調に進行している。令和6年度は，これまでに得られた研究成果を国内学会にて発表し，そこで得られる知見をもとに，研究のさらなる進展を目指す。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究では，脱灰程度の異なる根面齲蝕モデルにSDFを塗布した際の状態変化を，微小硬さ測定装置を用いて，ヌープ硬さを測定することで検討した。その結果，ヌープ硬さは，超音波トランスデューサーによる音速値ならびにデジタル画像解析処理による黒色度と相関があることが示された。令和6年度は，根面齲蝕モデルにSDFを塗布した際の象牙質表層における形態的変化をレーザー顕微鏡（LSM）および走査電子顕微鏡（SEM）によって観察することで，初期根面齲蝕の治療指針立案のための基礎的データを収集する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度の研究では，当初予定していたよりも試片製作に必要な消耗品を抑制できたため，これにかかる費用が低減し残金が生じた。令和6年度においては，令和5年度と同一の条件で保管した各試片の象牙質表層における形態的変化をLSM観察およびSEM観察することから，令和5年度以上の試片数が必要であり，次年度への繰越金は，令和6年度の助成金と合わせて，実験消耗品に使用する。
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