研究課題/領域番号 |
22K09991
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
原 美音 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (60880804)
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研究分担者 |
尾崎 友輝 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (10802902)
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歯周病 / 糖尿病 / 老化 |
研究実績の概要 |
本研究は,歯周病と糖尿病に共通のリスク因子である加齢に伴う老化の影響について検討することにより,老化関連因子の制御による新たな治療戦略を構築することを目的として設定された.申請者らの令和5年度までの研究において,コントロール(C)群,歯周病誘導(P)群,糖尿病誘導(DM)群,糖尿病歯周病誘導(DM+P)群のマウス4群を作成し,さらに老化細胞除去薬投与群と非投与群に分け飼育した.老化細胞除去薬投与群には,老化細胞除去薬として【Dasatinib(D),Quercetin(Q)溶液】(D+Q)を14カ月齢時より月に1回,4カ月間経胃投与した.18カ月齢まで飼育した各群をサンプルとし,各疾患の病態程度の評価を行った. 糖尿病の病態程度の評価は,毎月ごとに空腹時血糖値を測定し評価した. 歯周病の病態程度の組織学的評価として,マイクロCT解析による歯槽骨吸収量の計測を行った.マイクロCT画像の前頭断面像,矢状断面像,水平断面像において基準平面を設定し,計測用の三次元画像を作製した.前述の三次元画像において,第1臼歯計4カ所,第2臼歯計4カ所,第3臼歯計2カ所の計測部位を設定した.各計測部位において垂直にセメントエナメルジャンクションと歯槽骨頂を結んだ距離を歯槽骨吸収量とした. 得られた結果に統計解析を行い,歯槽骨吸収量の比較ではDM群,DM+P群でD+Q投与による歯槽骨吸収量の有意な減少がみられた.また,空腹時血糖値の比較ではD+Q投与による有意な差はみられなかった. 老化の病態程度の確認として,歯周組織のSA-β-gal染色を行った.D+Q投与にて染色陽性面積が有意に減少した.また,SASP因子として血中IL-6濃度の歯肉組織内発現の測定をELISA法にて行った.D+Q投与にてIL-6は有意に減少した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本実験は高齢マウスをサンプルとして供することから,目標の週齢までにマウスが死亡することがあり,サンプル数の確保が困難になることがあり実験がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
老化の病態程度の確認として,歯周組織に追加し膵臓のSA-β-gal染色を行う.細胞周期阻害により老化を誘導するp16と,SASP因子の歯肉組織内発現の測定をreal-time PCR法、ELISA法にて行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプル数の確保が遅れたため,まだ購入していない使用予定の実験用器材,薬品などがあるため.今後サンプルを確保し実験を継続していく.
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