研究実績の概要 |
本年度は新しく侵襲性歯周炎の原因遺伝子変異として同定されたヒトMMD2のR126P変異に着目して研究を遂行した。マウスMMD2においてこの変異はR127P変異となる。WT, R127P/+, R127P/R127Pマウスにおいて好中球をfMLP刺激したところ遺伝子変異マウスにおいてはERKのリン酸化が阻害され、好中球のchemotaxisが抑制された。マウス臼歯を絹糸結紮し24時間後に歯周組織を詳細に解析したところ、免疫染色の結果、R127P/+, R127P/R127Pマウスにおいては好中球の分布がWTマウスに比べて阻害されていた。また、炎症性サイトカインの発現をreal time PCR法で調べたとことろ、R127P/+, R127P/R127Pマウスにおいて更新している事がわかった。また、R127P/+, R127P/R127Pマウスにおいては歯周組織における細菌数の増加が認められ、Fluorescence in situ hybridization法においても最近の分布が多く認められる事がわかった。これらの結果は、MMD2 R126P変異を認める侵襲性歯周炎患者は、好中球のchemotaxisが阻害されるため、細菌の存在場所に好中球が走化することがおくれるため、細菌を排除することができず、炎症が惹起され炎症性サイトカインの発現が更新していることが示唆された。また、MMD2 A117V変異を有する患者の好中球を分離しプロテオーム解析を行ったところ、患者の好中球は健常者の好中球と全く違うクラスターに分けられ、特に初期の急性炎症に関するタンパク質群において発現が健常者好中球に比べて優位に低下していることが示された。
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