研究課題/領域番号 |
22K10004
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
加藤 幸紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50281283)
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研究分担者 |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00709248)
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90262203)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女性ホルモン / プロゲステロン / エストロゲン / 歯周病治療 / Microbiome解析 / RNA-Seq |
研究実績の概要 |
本研究では妊娠・非妊娠女性、閉経後の女性を対象として口腔内細菌と歯周組織の炎症をMicrobiomeとRNA-Seqで網羅的に解析し、さらに女性ホルモンの影響をヒト培養細胞実験とマウスモデルで検証し、女性のライフステージにおける歯周病の発症・進行をシームレスに抑止することを目的としている。 (1)ヒト臨床研究:プロゲステロンの変動が歯周組織や口腔細菌叢に影響する可能性が示されている。現在被験者数を追加している。 (2)細胞実験:女性ホルモンを添加した歯肉上皮細胞において、Ingenuity Pathway Analysismを用いた網羅的解析を行った。エストラジオール添加により、IL33の上昇、CAV1やTUBA1Cの低下が起こり、canonical pathwayではwound healing signaling pathwayの上昇、cell cycleの低下がみられた。プロゲステロン添加により、VEGFAの上昇、CAV1やSTAT1の低下が起こり、canonical pathwayではcell cycleの低下やwound healing signaling pathwayの上昇がみられた。この結果から女性ホルモン濃度が高く維持されることで歯肉の創傷治癒やホメオスタシスが保たれる可能性が予測された。 (3)マウスモデル:女性ホルモンを投与した卵巣摘出マウスの細菌叢解析を行った。エストロゲンによる細菌叢への影響は認められなかったが、プロゲステロンによりα多様性解析のfaith pdとβ多様性に影響を与えた。女性ホルモン量が高い状況では、プロゲステロンが細菌叢へより強く影響すると考えられた。歯肉組織での炎症関連遺伝子発現は上昇しなかったが、細胞実験で得られた遺伝子の発現を確認し、(2)でみられたcanonical pathwayが存在することが予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床サンプル数について:目標被験者数に達していないため、継続して被験者収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 閉経期・更年期女性、月経のある女性、妊婦サンプルをもとに、生化学的・細菌学的解析を実施し、総合解析を行う。 2. ヒト歯肉上皮細胞を用いた研究結果と閉経モデルマウスを用いた研究結果をまとめ、ヒトサンプルとの結果を総合的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、ヒトサンプル収集を継続しているところであり、マイクロバイオーム解析が持ち越された。このため2023年度に計上していた解析費用は、2024年度に繰り越しとなった。
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