細胞に対するチタン顆粒においては、チタン顆粒のサイズと形状、暴露の濃度と期間、研究対象の細胞の種類など、さまざまな要因に依存する可能性がある。ゆえにまず、条件検討として異なる粒子径及び濃度の異なるチタン顆粒にて条件検討を行うことした。歯肉上皮細胞Cα9-22細胞を用い、ナノ粒子(直径100nm) およびマイクロ粒子(直径約3.23μm)のTiO2が細胞の生存に及ぼす影響をMTTアッセイにて検証した。その結果、ナノ粒子は細胞発育に影響を与えなかったものの、マイクロ粒子は若干の影響を与えることが判明した。 次にチタン顆粒の濃度が細胞発育に及ぼす影響を検証した。高濃度、中濃度、低濃度のTiO2マイクロ粒子(直径約3.23μm)を歯肉上皮細胞Cα9-22細胞に滴下・培養し、MTTアッセイを行ったところ、群間に違いは認めなかった。 本研究ではマクロファージ系細胞である RAW 246.7 細胞に滴下し、 tRAS の発現を検証する予定であった。歯肉上皮細胞Cα9-22細胞におけるMTTアッセイにて用いた細胞のRNAは保管されている。代表者が海外派遣となることから、本研究は中断することとなった。帰国後直ちに遺伝子解析を開始する予定である。また、 RAW 246.7 細胞を用いた検証も直ちに開始する予定である。さらに細菌学的要因と生体異物反応の両方を検討するため、LPS 除去チタン顆粒と LPS 付着チタン顆粒を用いた検証も行う予定である。 現在のところ、研究条件設定を行うところまでしか進んでおらず、レニンアンジオテンシン系に関する検証を実現することができなかった。ゆえに「やや遅れている」と判断した。
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