研究課題/領域番号 |
22K10046
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
林 達秀 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70367621)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 原子層堆積 / ジルコニア / 歯科用インプラント / 表面改質 / ラッピング加工 |
研究実績の概要 |
前年度は、ジルコニアディスク(ZR)上にTiO2 (ZR-Ti)、Al2O3 (ZR-Al)、SiO2 (ZR-Si)および、ZnO (ZR-Zn)それぞれの薄膜を原子層堆積(ALD)を用いて成膜し、各試料上でマウス線維芽細胞(L929)およびマウス骨芽細胞(MC3T3-E1)の細胞増殖能を評価した。その結果、L929、MC3T3-E1ともに、ZR-Ti、ZR-Al、ZR-Siの試料上において細胞数は経時的に増加したが、Zr-Zn上ではいずれの細胞も増殖しなかった。この理由として、Znの溶出量が他よりも多く、その影響によるものと考えられ、さらにZnOの成膜は、試料の表面性状、即ち、研磨状態に影響すると推察した。したがって 本研究では、ZR作製後、ラッピング加工により同ディスクを鏡面研磨し、前年度の実験において特に良好な結果が得られたZr-TiおよびZr-Alと、良好な結果が得られなかったZr-Znを作製した。 ZR-Ti、ZR-Alおよび、Zr-Zの薄膜の厚さはそれぞれ、43.65、45.12、49.19 nmであり、目標成膜厚50 nmに近似していた。表面粗さは、ラッピング加工をしていないZRの線粗さ(Ra)が81.291 nmだったのに対して、ラッピング加工後は7.172 nmであった。さらに、ZR-Ti、ZR-Alおよび、Zr-Znの線粗さ(Ra)はそれぞれ、3.770、4.290、5.160 nmであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでは、ジルコニアディスクを作製後に手指による研磨を行っていたが、ジルコニアは非常に硬く、一様に研磨することが困難であった。しかし、ラッピング加工によりジルコニアを鏡面研磨することが可能となり、同加工後にALDにより各種薄膜を成膜し、再度これまでと同内容の実験を行うこととしたため、当初の予定よりも遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はジルコニアディスク(ZR)をラッピング加工後、ALDにより、チタニア(ZR-Ti)、アルミナ(ZR-Al)、酸化亜鉛(ZR-Zn)成膜し、各種薄膜の厚さおよび表面粗さの計測に留まったが、今後はさらに、各種試料のぬれ性、ICPを用いて それぞれの試料からの元素(Zr、Ti、Alおよび、Zn)溶出量の測定、各種薄膜の密着強度の測定および、各種試料上での細胞増殖能の評価と細胞形態の観察をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ジルコニアのラッピング加工にかかる単価が高く、当初予定していた枚数を少なくしたため本年度予算が余った。次年度予算と合算して不足分を追加する予定でいる。
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