研究課題/領域番号 |
22K10051
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (50218723)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA) / 口腔内装置(OA;Oral Appliance) / 内視鏡検査 / 鼻咽腔・中咽頭の閉塞度評価 / VOTEスコア |
研究実績の概要 |
近年閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は,日中傾眠による仕事の能率低下,運転事故等で社会生活に支障を来すだけでなく,生活習慣病をも悪化させるため,社会的な注目度も高まっている.我が国では重度のOSAには持続陽圧呼吸(Continuous Positive Airway Pressure; CPAP),軽度~中等度のOSAには口腔内装置(Oral Appliance: OA)が保険適用されるが,重度のOSAにもOAは有効な場合もあり,医科でも歯科のOA療法の有用性が認められつつある.しかしOAは全ての症例に有効なわけではなく,奏功するか否かは治療を行ってみなければ,分からないのが現状である.CPAP使用が困難なため,医科より歯科にOA療法の依頼があり,OAを適用したが効果を得られず,再度CPAP適用を医科に依頼するのは時間と経費を要し,患者・医療従事者にとって望ましくない.OA治療が奏功するかを事前に見極められれば,個々の症例に応じてCPAPとOAのいずれが最適かを判定でき,よりテイラーメイドな治療が可能となるため,その果たす役割は大きい. 本研究では術前の診査,問診,簡便な計測値より,治療効果を予測するモデルを構築し,その臨床応用を目指すとともに,その有用性を鼻咽腔ファイバースコープ等の内視鏡を用いて,OA装着による下顎前方移動時の気道の広がりから検証することを目的とする.さらに睡眠検査で睡眠,呼吸の状態を計測して治療効果を判定し,症例に応じた治療効果の予測と判定システムの構築を目標とする. 初年度はOA作製を行ったOSA患者20名の内視鏡分析を行った.その結果,OA装着による下顎前方移動に伴う,気道の開大パターンに従来の報告通り3パターンが認められ,また鼻咽腔・中咽頭のVOTEスコアによる閉塞度評価に改善の傾向が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内視鏡分析はOA作製を行ったOSA患者20名(担当:秀島,快眠歯科・センタースタッフ)に対し以下の基準で進めており,経過は概ね順調である. *採択基準: 年齢20歳以上,骨植の良い残存歯が20本以上.*除外基準:術前評価後に歯科処置の予定者,痛みや開口障害を伴う顎関節症例,重度の歯周疾患症例,精神疾患を伴う症例
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今後の研究の推進方策 |
改良予測モデル・判定システムの妥当性,汎用性の検討,周知を図る.新規患者データを用い,改良予測モデルの再現性を検討し,医科・歯科において適応症の見極め基準として運用する. 以上よりOSA症例の術前の簡便な診査から,OA治療の効果予測モデルを策定し,症例に応じたテイラーメイド治療を提案する,診断・治療効果予測システムの構築を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は並行して進めていた別の科研費研究の最終年度だったため,本研究費の使用がやや遅れた. そのため,本年度の予算の多くを次年度に充当する予定である.
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